演出家によるハラスメント行為やイジメ報道に揺れる宝塚歌劇団で異例の人事が発表され、波紋を呼んでいる。宝塚歌劇団は7日、6月に退団する宙組トップスター・真風涼帆の後任に芹香斗亜(せりか・とあ)が就任すると発表。芹香は現在、宙組の男役二番手スターであり、順当にいけば芹香の相手役である娘役二番手、天彩峰里(あまいろみねり)が芹香に従うかたちでそのまま宙組のトップ娘役に「昇格」するところだが、春乃さくらが選ばれた。

天彩をめぐっては、2日発売の「週刊文春」(文芸春秋)が、後輩にヘアアイロンを押し付けるなどのイジメを行い、それを知った芹香が天彩を敬遠するようになったと報じていた。

「スターと娘役のコンビは一緒にトップに昇格して、退団するときも娘役がスターに『添い遂げる』かたちで同時に退団するのが美しいとされるので、普通にいけば天彩さんがトップ娘役になるのが自然です。芹香さんと天彩さんの間に何かあったとは信じたくありませんが、異例といわれればそうでしょう。ただ、純粋に芹香さんと春乃さんの相性が素晴らしいという理由で決まったのかもしれませんし、ファンとしては純粋に新トップコンビの公演を楽しみたいと思います」(宝塚ファンの女性)

宝塚に詳しい週刊誌記者はいう。

「春乃は新人公演で主要キャストを務めるなど若手の頃から活躍が目覚ましく、宙組では『次のトップ娘役』候補として娘役二番手に就いていた。今回トップ娘に抜擢された春乃は天彩の2期後輩に当たり、天彩は後輩に追い抜かれたかたち。芹香が天彩の昇格に難色を示したとしか考えられず、イジメ報道や2人の確執がより真実味を帯びてくる。後輩をイジメているというような情報が外に漏れて週刊誌にまで出るくらいなので、天彩は宙組内で他の生徒たちからの信頼が高くない様子がうかがえる。今回の人事で、天彩の出世の道は絶たれたといえるだろう」

当サイトは2月2日付記事『宝塚歌劇団、また壮絶イジメ報道…止まらない不祥事の内部告発、運営崩壊の予兆』で宝塚の置かれた現状を報じていたが、今回、改めて再掲載する。

――以下、再掲載――

演出家・原田諒氏がトップスターや演出助手だった女性スタッフらにハラスメント行為を行っていたと報じられ退団し、宙組トップスター・真風涼帆が、宙組トップ娘役だった星風まどか(現花組トップ娘役)に侮蔑的な言葉を浴びせるなど陰湿なイジメを行っていたと報じられるなど、大揺れに揺れている宝塚歌劇団。2日発売の「週刊文春」(文芸春秋)は、宙組の娘役二番手、天彩峰里(あまいろみねり)が後輩にヘアアイロンを押し付けるなどのイジメを行い、それを知った宙組の男役二番手スター、芹香斗亜が今度は天彩を無視したりキツい言葉を浴びせるようになったと報道。宝塚の内部で今、何が起きているのか――。

一昨年に創立100周年を迎えた名門・宝塚歌劇団について改めて説明は不要だろう。「タカラジェンヌ」と呼ばれる劇団員が全員女性で、彼女たちが男役・女役を務め、花組・月組・雪組・星組・宙組の計5組と専科で構成されることが大きな特徴。歴代のトップスター、トップ娘役からは大地真央、黒木瞳、天海祐希、真矢ミキをはじめ今も第一線で活躍する女優が数多く生まれるなど、芸能界の貴重な人材育成機関としての顔も持つ。

また、その厳しい生活ルールや上下関係にまつわるエピソードも有名だ。たとえば、駅で先輩が電車に乗ろうとしていた場合は後輩は同じ電車には乗らずに『お見送り』をしたり、宝塚線の線路沿いで先輩が乗っていると思われる電車が通るだけで後輩が立ち止まって礼をしたり、宝塚音楽学校では上級生と下級生が班をつくって校舎の隅々まで完璧に掃除をするといった決まりがたびたびテレビなどでも紹介されてきた。また、あまり知られていないところでは、団員は5年目までは宝塚歌劇団の正社員という扱いで、給料やボーナス、退職金も支払われるというのは日本の劇団では珍しい仕組みといっていいだろう。

「廊下を直角に曲がるというルールも有名ですが、かなり前に撤廃されました。そのほかのルールも現在ではかなり緩和され、以前と比べれば上下関係もそこまで厳しくなくなりつつあります」(元タカラジェンヌ)

そんな宝塚歌劇団で続く不祥事。ファンはどうとらえているのか。

「純粋に宝塚という世界が好きなファンとしては、信じたくないという思いが強すぎて、正直よくわからないというのが本音。また、私たちに生きがいを与えてくれる舞台の素晴らしさが否定されるものではないということは強調したいと思います。特に今の宙組トップスター・真風さんとトップ娘役・潤花さんのコンビは本当に素晴らしいので、ぜひ1度劇場で公演を見ていただきたいと思います。

ただ、宙組は5つある組のなかで一番歴史が浅く比較的新しい組で、長身の男役たちが繰り出すスタイリッシュなステージが特徴で、伝統的で温かみがある花組や月組とはかなり空気感が違う。そうしたことが絡み合い、内部で軋みを生んでいるのかもしれない。もっとも、宝塚全体で400人、一つの組に80人近いタカラジェンヌがいて、その全員が年頃の女性ばかりとなれば、多少の妬みや確執みたいなものが生まれるのは仕方ない。そうした面が週刊誌で面白おかしく誇張されて報道されているだけなのではないでしょうか」(50代の宝塚ファン)