日本と違って他の先進国は住宅ローンの期間が非常に短く 20年とか25年で返すようになっていますから、 最大で 年収の4倍ぐらいの値段の住宅が適当だと言われています。ですから この指標 もそれに沿っているわけです。 日本のように 30代の人が35年ローンを借りたり 2世代ローンを借りたりするようなことはありません。

住宅市場は都市圏であり、また労働市場でもあります。適切な報酬が働く人に払われていて、不動産市場がバランスが取れている都市なら、中所得世帯の多くが中間価格帯の住宅を手頃な価格で購入することが可能です。これは日本を含め、多くの国で数十年前まで当たり前でした。

以下は受託価格が負担可能か、厳しいかを示した表ですが、表の中の数字は、各国の都市部を不動産市場別に分けて、その中のいくつが、4つの指標に該当するか示したものです。

驚くべきことにこの調査が調べた市場の殆どが、「負担可能」ではなかったという結果が出ています。

年収の4倍程度の家があるのは、カナダのたった一つの都市、アメリカの12だけです。

香港は最も手の届きにくい市場であり、倍率は18.8です。ニュージーランドも高くオーストラリアは10.8倍、オーストラリアは8.2倍で、オセアニアは不動産が高騰しており、収入が高くても家が買いにくいのがよくわかります。

意外と安いのがイギリスの5.3倍とシンガポールの5.3倍ですが、イギリスは地方別に格差がかなりあることに注意が必要です。

ただ国全体としては最も理想的な数値です。

そしてアメリカは5.0と低いのですが、イギリスと同じく都市別の格差が凄まじいことに注意が必要です。

これは都市別の違いを見るとよくわかります。

シドニーは香港に次いで家が手の届きにくい街で、倍率は13.3です。バンクーバーは12.0、ホノルルは11.8、サンノゼは11.5、ロサンゼルスは11.3、オークランドは10.7、メルボルンは9.9、トロントは9.5、サンディエゴは9.4と続きます。

最も手頃な市場はピッツバーグで、倍率は3.1です。それに続いてロチェスターが3.2、クリーブランドとセントルイスが3.5です。

ARUHIマガジンの資産では、2019年に「フラット35」を利用した購入者は83,513件のデータの集計によれば、年収倍率は購入者に限った場合、年収の場合6~7倍が多いのがわかります。日本全体で見るとぐんと上がり、7倍から12倍になり、平均は9.6倍です。

これは日本は高齢者の割合が高く、年金収入の人が多いので購入者の年収に比べると年収が低い人が多いのが原因です。

購入者全体で見た場合は6.7倍なので、若年層人口が日本よりも多いアメリカやイギリスに近い数値になります。

一方で日本にも地域差があります。2022年に東京カンテイが発表した「新築マンション年収倍率」の調査結果によれば、新築マンションの年収倍率は全国平均で9.66倍でした。

都道府県別にみると最も年収倍率が高かったのは東京都の14.81倍で、次に京都府の13.66倍、埼玉県、神奈川県、大阪府は12倍です。2020年の調査の際は東京都で13.26倍で他の県も上がっています。日本では高収入の人が多い 東京 や外国人にも人気がある地方の歴史がある都市は新築マンション価格が非常に高くなっているわけです。

他の国の主要都市とあまり変わらない感じがしますが、しかし注意が必要なのはしかもそもそも これらの都市は 円安であることもあり、購入者の年収が日本よりも高いのです。

例えば オーストラリア統計局によれば 2022年8月のシドニーの 年収中間値は65,000豪ドルで、日本円で676万円程度です。 同時期の日本の収入中間値は366万円ですから1.6倍と かなり多いことがよく分かりますね。

シドニーの場合は 住宅の中間値が13.3倍なので、住宅の中間値は8,000万円ほどになります。 例えば同時期の日本の中古マンションは3,110万円ですから、シドニーの真ん中ぐらいの収入中間値の600万円だったら倍率は5.8倍なので、手が届く値段です。

オーストラリアの人には非常に割安なわけです。

これをアメリカの都市部と比べると、なぜアメリカの人々が日本で不動産を買うのか実によくわかります。

例えばアメリカの統計局によれば、2023年5月のサンノゼの収入中間値はなんと125,075ドルです。日本円換算だと約1,750万円です。サンノゼの年収倍率は11.5倍ですから、住宅価格は約2億200万円です。これが中価格の住宅の値段なのだから日本の不動産がいかに激安なのかよくわかります。東京の新築マンションであって6,000万円程度でも彼らにとっては割安です。

 

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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