最近は日本でも円安や海外に比較した日本の物価のやすさがテレビや雑誌で話題ですが、しかし海外の物価がどれだけ高いか、実際に詳しく知っている方は多くはないのではないでしょうか。

私が昨年出版した『激安ニッポン』 (マガジンハウス新書)では様々な値段の比較をしていますが、日本の方が驚くものの一つが不動産の値段の違いでしょう。

日本で不動産を買う人が増えているカナダの場合は2022年に不動産の値段がなんと1年前と比べて27%も上がりました。特に値上がりが凄まじいのが 西海岸のバンクーバーで、 2010年には 5,000万円ほどだった4LDKの2軒長屋(イギリスとカナダの住宅の形式で2軒の家が一つの建物としてくっついている)が2020年にはなんと2億円になってしまったのです。

それでは他の主要都市の住宅価格はどのようなものか見てみましょう。

Demographia International Housing Affordabilityによれば、各国の主要都市で「その国の収入中間値(中所得者)の人がなんとか買える住宅」はどのぐらいあるか、という調査を行っています。これは日本でよく呼ばれる「年収倍率」というものです。

例えば年収1千万円の人がいたら、年収倍率が4だったら4,000万円の家はなんとか買えますということです。

中所得者向け住宅の負担可能性は、「最も負担可能なもの」から「最も負担しづらいもの」までの4つのカテゴリで評価されます。所得者の収入は「収入の中間値」で表されていますから 「平均」とは違います。 その国のちょうど中間ぐらいの収入を得ている人の年収ということです。

CHUNYIP WONG/iStock

この調査では、その年の住宅中間値を収入中間値で割った数字を指標として用いています。

中間レベルの収入の人が年収の何年分でその都市の家を買うことができるかということです。 日本でも住宅ローンの審査で、年収の4年分とか5年分程度の家であれば住宅ローンを借りることができるなどという指標が使われますが、 それとよく似ています。