上述の日本政府資料を見ると、この日本政府の定義する「電力コスト」に入らない項目がずらずらと並んでいる。

再エネ大量導入のための送電線費用
再エネ大量導入のためのバッテリー導入費用
水素やアンモニア導入のための費用
CCS導入のための費用
省エネ補助金のための費用
電気自動車導入のための費用
GX債償還のための課徴金
GX債償還のための排出権購入費用

再エネの費用はFIT買取費だけではない。特に大量導入するとなると送電線やらバッテリーやらのために膨大な費用がかかる。

政府の奇妙な「電力コスト」の定義だと、FIT買取費用と化石燃料の燃料費だけを減らせば電気代が下がるかのように錯覚しがちだが、現実は全く違うのだ。

この日本のGX戦略を実行すれば電気代は高騰することは間違いない。この事実を政府は隠している。そのための道具がこの「電力コスト」という似非指標だ。

これまでのところ、日本の電気代は、2010年以降、高騰を続けている。

出典:令和4年度 エネルギーに関する年次報告

筆者らは「非政府エネルギー基本計画」において、電気代を指標として、2010年水準(産業用14円、家庭用21円)に戻すという目標を提案している。

政府は欺瞞に満ちた「電力コスト」なる指標を撤回し、「電気代」を指標に据えるべきだ。そのうえで、電気代を幾らまで下げるのか、数値目標を立てるべきだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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