モーセが60万人のイスラエルの民を神の約束の地カナンへ導く荒野の難行を行うことが出来た背後にはミデヤン時代、祭司の娘だった妻チッポラの協助があったからだ。
それだけではない。モーセの生涯を振り返ると、その出生時には母親の機転でエジプト王ファラオの暗殺から逃れ、ナイル川に流されていた赤ん坊のモーセを助けたのはファラオの王女だ。王女は母としてモーセを王宮の王子として成長させた。
すなわち、産みの母ヨシャベルや引き取って育てたエジプトの母の王女ベシア、そして妻チッポラの助けを受け、モーセはその使命を果たしていったわけだ。モーセの生涯では女性たちが大きな役割を果たしていることが分かる。
紀元前16世紀に活躍したモーセだけではない。歴史上に登場した指導者は母親、妻、姉妹の女性たちの助けを受けて大きな仕事をした人物が結構多い。現代の世界の政治家、指導者たちにもこのことがいえるだろう。今注目されているのは中国共産党の習近平国家主席の妻、彭麗媛夫人だ。
党大会で異例の3期の任期を勝ち取った習近平主席周辺にはこれまで何度かの暗殺未遂事件が起きている。そのような不穏な政情の中、習近平主席の妻、彭麗媛夫人が政界の表舞台で登場してきたという情報が北京消息筋から飛び出してきた。最近では、国家衛生健康委員会が3月24日、公式ウェブサイトで、彭夫人が世界保健機関(WHO)結核・エイズ防止親善大使として湖南省の省都・長沙市を訪れたことを公表している。
中国のファーストレディ、習主席夫人の彭麗媛さん(ポン・リーユアン)は中国の代表的歌手だった。ウィーンの国立歌劇場で「ムーラン」(Mulan)の主人公を演じたこともある。夫人にとって、音楽の都ウィーンの国立歌劇場は現役時代の最後の舞台だった。その夫人が中国メディアに頻繁に登場するなど、政治的影響力を強めてきているというのだ(「誰かが“習近平落とし”を図っている」2021年11月28日参考)。