これに対して世界では業務内容で賃金を決める職務給(ジョブ型賃金)が一般的です。日本でも非正規雇用のほとんどはこっちですね。
さて、その年功給ですが、新人から若手~中堅くらいまでは割に合わず、中高年になってから積みあがった年功給によりリターンを得られるようになっています。
だいたい30代のどこかで「割に合わない」から「割りに合う」に転換する企業が多いです。そういう観点にたてば、50代の給料はボーナスステージ真っただ中だということは明らかでしょう。
だから「定年前の給料水準に戻してくれ」というのはまずありえない話です。ボーナスステージだけ延長してくれよと言っているようなもんですから。
じゃあ同じ仕事をしている後輩に合わせるのか。でも同じ仕事をしている後輩の中には20代も30代も40代もいて、皆それぞれ給料は違うわけですよ年功給だから。
そもそも年功給の組織の中で仕事を基準に給料水準をそろえるということが不可能なわけです。
ではどうするか。60歳までは年功賃金で、その後の再雇用は会社が判断した水準で払うという、まあどちらかというとジョブ型に近い扱いにする会社がほとんどですね。
会社が「君の仕事に出せるのは月〇〇万円だ」と判断したんだから、それに納得できないなら賃上げを交渉し、それでもダメなら転職するしかないです。
そしてそれが出来ない、他にいくあてなんてないというのならチェックメイト、あなたの負けです。そういう交渉力のないキャリアを身に着けてしまった自己責任ですね。
あ、たぶん労働弁護士なんかは(自分らの飯の種だから)「悪いのは会社です、一緒に闘いましょう!」とかなんとか煽ってくるでしょうが、個人的にはオススメしませんね。
たとえ勝ったとしても会社にいる間は針のむしろ状態でしょうし、人件費のしわ寄せを背負わされる後輩からは憎悪の目で見られることは確実です。
現在、健康で自立した生活をすることのできる健康寿命は男性で72.6歳とされています。そのリミットまでの貴重な貴重な数年間を、周囲から孤立した状態でお荷物扱いのママ浪費するなんて、人生に対する冒とく以外のなにものでもないと筆者は思いますね。
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以降、
・60代をジョブ化する企業で起こること
・60歳を迎える前にやっておくべきこと
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2024年3月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。
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