昭和的な人事管理に曲がりなりにも同化できる人はトラディショナルな企業でも長く働けますが、自分の価値観を変えらえない人は新興企業で若者が活躍できる会社を選択する二者択一的な動きが生じることもあり得そうです。

こうなると一種の若者の哲学なのですが、確実に言えることは終身雇用の発想はまずありません。それどころか、たぶん5年が一つのサイクルではないかと思います。特に女性にあり得るパタンです。22歳で就職、27歳までまず一つの会社で頑張る、次にそこで自分を見直したりリセットする長期旅行や全く別の経験を1-2年積みます。そこで再就職を選んだ場合、案外長く専門職として仕事をする、だけど社内で昇格して偉くなるのではなく、ワークライフバランスをきちんと維持する、そんな感じです。この場合、女性のほうが様々な経験値を踏み上げているので一つの会社にしがみついている男性よりまし、ということもあるのです。

昔の価値観では結婚が途中の選択肢であるはずでは、と思われる方もいらっしゃるでしょう。案外私が目にしているのは同棲。つまり一応特定相手とお付き合いしている、です。ただし、面白いなぁと思うのは同棲は必ずしも結婚前提ではないのです。このあたりの発想は非常にドライだと思います。

この前もある就職期にある若者とやり取りしていて「僕、何をしたいか、どこに就職すべきかわかんないんですよー」と。でもそれは私も同じだったのでわかります。問題は会社に入ってから私は負けん気を起こした、だけど今は「嫌なら辞める」なのです。これは昭和的な「ど根性試練」が積みあがらないので比較的平坦な人生を探し続けなくてはならず、時間がたつと後悔に転じるのだろうと思います。とはいえ、私の価値観と最も違うのは「勝ち抜く」という強い意志を持った人が少なくなったことでしょう。これは日本の組織力などを維持するためには大きなハードルになるかもしれないと思っています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月20日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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