また、リビングウィルやAdvance Care Planningの普及率の悪さ(自身や家族の命と向き合う意識と覚悟の低さ)についても、自己負担額が関与しています。
誰に聞いても「死ぬ時はポックリが良い」と言うものの、無料~激安で医療が受けられるので、「いざとなったら大きな病院にかかってできるだけのことはやって貰おう。今は考えられない」と、安易に議論や決断を先延ばしにし、土壇場を迎えて医療資源が浪費されるケースが非常に多いです。老人虐待同様の延命の始まりにもなり得ます。
自己負担額の適正化により、老いや終末期の在り方について真剣に考える人も増えるでしょう。金が絡まない教育や啓蒙の効果は限定的です。延命治療を受ける高齢者の姿は見るに耐えません。彼らは後悔しても発信の術を持たず、文字通り体と引き換えに「寝たきり大黒柱」を営んでいます。
現状は本当に異様です。
牛丼チェーン店(より更に激安~無料)で松阪牛食べ放題の状態です。自己負担の低い者で溢れかえるので、真面目に金を払う現役世帯が、順番待ちと貧困のために結局食べられないことがよくあります。コロナパンデミック含め災害時、過剰社会保障制度のために若い尊い命が失われてきましたが、一向に制度が見直されることがありません。
責めるべきは個人の倫理ではなく、元凶たる過剰社会保障制度です。自己負担の適正化は、本来不要な医療需要を大きく削減し、日本の総貧困化・加速する少子化・老人虐待同様の延命治療・医療現場逼迫による現役世帯の診療機会減少など、様々な社会問題の改善に繋がります。
他にも問題は山積していますが、自己負担の適正化を最優先かつ早急に行い、伴う医療需給バランスの変化を見ながら、他に手をつけてゆくのが賢明と考えます。また、介護保険についても同様です。
今回、これに切り込む政党が出現したことに感銘を受けています。今後とも、微力ながら自分にできることをしていきたいです。
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九住 龍介 救急科専門医、集中治療科専門医 過剰社会保障制度を憂う急性期病院勤務医です。慢性期病院でも働いていました。
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