起業に学歴は要らない

また、中卒の強みは社会インフラ系のブルーカラーの仕事だけではない。ビジネスの起業も同じである。特に変化の早い時代は起業するならできるだけ早い方がいい。

自分は起業して色んな業界の社長と会ってきたが、テレビに出たり本を出して講演をするような一部のエリートを除いて、世の中で活躍する多くの社長はそうではない。現在は東京を離れて熊本県に移住したのだが、地元でビジネスで成功する社長のほとんどが中卒、高卒ばかりである。企業経営的にビジネスをして、社長自ら作業着に泥をつけて働く酪農家や農家たちの中には、東京の一流企業でエリートサラリーマンをしている人の何倍も収入を稼ぎ、数十倍の資産形成をしていたりする。

自分は東京で会社員としてキャリアを追いかけるために大学を出たが、正直な話、起業した今は大学を出たことは直接役に立ていることは何もない。アメリカに留学したという実績は得ることができたが、大学で学んだこと以上に必要なスキルや知識は日々独学をしてきたことで勝負しているという実感がある。起業に学歴はまったく必要はない。どころか、一流大卒だとビジネスはプライドがじゃまをして泥臭いが実はチャンスが有るというビジネスには手を出さない。高い学歴がじゃまをしてしまうのだ。

筆者には子供が二人いるが、もしも起業したいと言い出したら大学なんていかず、中卒で今すぐやれと心から勧めたい。中卒と大卒とでは7年ものタイムラグがある。変化の速い時代において、7年間の遅れは致命的な命取りになるからだ。

昨今、「大学などいかずにYouTubeだけで学びを得られる」という論調である。自分は過去に「いや大学は人との出会いや頭の使い方、発表などの実践の場として価値がある」と大学の価値を主張してきた。今でも本質的な価値は変わらないと考えているし、大学というシステムを活用できる気概と能力のある人ならぜひ行くべきだ。

だが、一方でブルーカラー職は時代の要求という事実も考慮するべきである。「とりあえず大学へ」という親は多いが、その前時代的な発想を変える時が来ている。付加価値の低いデスクワークを続け、年を取った後に解雇されたらもはや行き先はない。需要の安定性だけを考えるなら、大工や社会インフラの仕事の方がよほど将来性があるのではないだろうか。

 

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