先月発売の「週刊文春」(文藝春秋)によって女性への問題行為が報じられていたタレントの松本人志さん(ダウンタウン)が8日、芸能活動休止を発表した。昨年、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)が社名を変更するまでに至った創業者の故ジャニー喜多川元社長による性加害問題をめぐり、これまで「週刊誌による芸能ゴシップ」と考えて報道してこなかったテレビ各局は検証番組などを放送し反省の姿勢を示したが、今回の松本さんの問題についてはどう報じているのか。日本テレビ報道局記者兼ドキュメンタリー番組ディレクターとしてテレビ局の報道畑を中心に番組制作の現場に携わってきた上智大学の水島宏明教授に解説してもらう。

最初にニュース番組で「速報」を伝えたNHK

 8日夜に吉本興業が松本さんの休業を発表したことを受け、ニュース番組で真っ先に「速報」として放送したのがNHKの『ニュース7』です。吉本興業のHPから引用するかたちで「性的被害受けたとする女性の証言 週刊誌掲載受け」と伝えています。先月発売された「文春」に「松本から9年前に都内のホテルで性的な被害を受けた」とする女性の証言が掲載され、この報道に対して吉本興業が「当該事実は一切なく、タレントの社会的評価を著しく低下させ、名誉を毀損するものです」などとするコメントを12月27日に発表したという経緯を伝えました。その上で「松本から、まずは様々な記事と対峙して、裁判に注力したい旨の申入れがございました」という吉本興業のコメントとともに活動休止を発表したと報じました。主に吉本興業のHP画像を使った1分半あまりのニュースでした。NHKは同日の『ニュースウオッチ9』でも同じように1分程度のニュースで伝えています。