コロナの緊急事態宣言で、飲食店の営業停止など大きな被害が出たことについて、その最大の責任者である西浦博氏がとぼけているので、2020年5月22日の記事を再掲する。

西浦氏は、緊急事態宣言で行動制限する8割削減を主張したが、その根拠となったモデルでは「42万人死ぬ」はずが、死者は約800人。3桁もはずすと、さすがに感染症の専門家も反省しているだろうと思うと、意外にそうではない。

「何もしなかったら42万人死んだはずだが、西浦先生のおかげでその1/500になった」というわけだ。これは「壺を買わなかったら死ぬ」と脅して100万円の壺を買わせ、「効果がなかった」といわれたら「壺のおかげで死なずにすんだ」という霊感商法と同じである。

その壺が役に立った証拠はどこにあるのだろうか。残念ながら岩田氏はそれを教えてくれないので、私が調べてみた。

まず感染がピークアウトしたのは3月末であり、4月7日の緊急事態宣言で新規感染者の減少率には変化がなかったので、このとき安倍首相が国民に要請した8割削減に効果がなかったことは明らかだ。

全国の新規感染者数(右軸)と実効再生産数(専門家会議の資料)

では「小池都知事の3月25日の「感染爆発の重大局面」という記者会見がきいた」という説明はどうだろうか。上の図を見るとわかるように、3月18日ごろから実効再生産数は下がり始めていた。つまり3月中旬が感染速度のピークだったので、小池会見はピークアウトの原因ではない。

8割削減はなぜ空振りになったのか