ニュージーランドの孤島に生息する「シュレーターペンギン」は、最初に産まれた卵は捨てて、2個目の卵だけを大事に育てるという奇妙な習性を持っています。

これはシュレーターペンギンを研究する専門家にとって、長年の大きな謎となっていました。

産卵には多大なエネルギーを消費するので、せっかく産んだ卵を捨てるのは鳥類において異例の行動です。

しかしニュージーランド・オタゴ大学(University of Otago)による2022年の研究で、シュレーターペンギンが1個目の卵を放棄する理由について正しい解答が得られました。

その理由は一夫一婦の両親が2羽のヒナを同時には養えないことにあるようです。

研究の詳細は2022年10月12日付で科学雑誌『PLOS One』に掲載されています。

目次

  • シュレーターペンギンの卵は1個目より2個目の方が大きい
  • 餌が少ないので、2羽を同時には育てられない

シュレーターペンギンの卵は1個目より2個目の方が大きい

研究主任のロイド・デイビス(Lloyd Davis)氏と同僚たちは1998年以来、シュレーターペンギン(学名:Eudyptes sclateri)の生息地に出向いて生態調査を行っていました。

その中でチームは2022年に、本種の繁殖地であるニュージーランドのアンティポデス諸島、バウンティ諸島で記録した約250時間にわたる観察データを改めて分析することに。

シュレーターペンギンのメスは通常5日の間隔をあけて2つの卵を産むことが知られています。

計158羽のペンギンのコロニーから一時的に採取した卵を比較したところ、これら2つの卵はサイズがまったく違うことが判明しました。

ほとんどの鳥類では、卵のサイズは産まれるにつれて小さくなるのに対し、シュレーターペンギンでは、2個目の卵が1個目の卵より平均して85%も大きかったのです。

「これほどの卵のサイズ差は、あらゆる鳥類の中でも最大だ」とデイビス氏は言います。

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左:1個目の卵、右:2個目の卵/ Credit: Lloyd Davis Photography (www.lloyddavis.com), CC-BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)