鮮やかな青い瞳を持った人々に憧れる向きも少なくないとは思うが、長い人類の歴史において青い目の人が誕生したのはほんの1万年前からのことであるという――。

1万年以上前には存在しなかった“青い目の人”

 青い目の人々の出現は興味深い突然変異の結果として1万年前~6000年前の間に登場したといわれている。つまり人類の長い歴史において青い目を持った人が登場したのは“ほんの最近”のことなのだ。

 科学的検証によると、青い目をしたすべての人は共通の1人の祖先を持っているという。今日の世界人口の8%を占める青い目の人々の“オリジン”であるこの1人の人物は、最後の氷河期の後、黒海北部に近い地域で出現、または誕生した。

 ある調査によると、世界で最初に青い目の人物が現れたのは黒海の北の場所である。コペンハーゲン大学の細胞分子医学科のハンス・エイベルク教授によると、この最初の青い目の人は原始インド=ヨーロッパ語族のアーリア人であるという。

 エイベルク教授によれば人間の染色体の「OCA2遺伝子」に影響を与える遺伝子変異により、茶色の目を作り出す能力を制御する“スイッチ”が作成されたということだ。

1万年前に“青い目の人々”が突然現れた謎… 遺伝的変異と古代の神々との関係は?
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

 メラニンの形成に関与する、いわゆるPプロテインは、「OCA2遺伝子」によってコードされており、人の肌、目、髪の色はすべてこの色素の影響を受けている。通常は「OCA2遺伝子」が完全に“オフ”になるわけではないのだが、虹彩メラニンを合成する活動が低下するように制御されると、茶色の目が青に“希釈”されるのだ。もしも「OCA2遺伝子」が完全に除去されたり“オフ”になったりするとその人物は「白皮症(アルビノ)」になる。

 こうして1万年前に登場した青い目の人物の遺伝子が徐々に伝播して受け継がれ、特に北欧などで青い目の人が増えはじめたのである。

 ちなみに両親の目の色がどちらもブラウンであったとしても、共に青い目の劣性遺伝子を持った両親の間からは4分の1の確率で青い目の子どもが生まれることになる。