しかしこの責任を全てクラブに被せるには少々酷だ。ハード・ソフト両面でJリーグ入りへの準備が整っているとは言えないこのクラブの参入を認めたのはJリーグ側だからだ。

「高知県にJリーグを」を旗印に大健闘した選手は称賛に値することは間違いない。だからこそ、フロントの数々の失態が際立ってしまうのだ。例え高知がJ3に昇格出来たとしても、そこがゴールではない、いわばスタートラインだ。Jリーグに居続けることは、Jリーグに参入するよりも難しい作業であることを、フロントは実感するだろう。


Jリーグの試合球 写真:Getty Images

財政的な問題

「特例措置」を連発して、闇雲に拡大路線をひた走ってきたJリーグ。

将来的にJリーグ入りを目指して「Jリーグ百年構想クラブ」にも名を連ね、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)で優勝した奈良県の飛鳥FCも来季からのJFL入りを果たしたが、関西リーグで戦っていた当初から財政的問題を抱え、既に5,000万円もの負債を抱えていると噂されている。「飛鳥FC金鵄プロジェクト~奈良県中南和地域のサッカーの火を灯す~」と称したクラウドファンディングを試みるも、目標金額の100万円に遠く及ばない21万5,000円しか集まらなかった。

Jリーグ入会要件の「入会直前年度のJFLのリーグ戦におけるホームゲームの1試合平均入場者数が2,000人に到達し、かつ年間入場料収入が1,000万円に到達していること」と「短期的に資金難に陥る可能性が極めて低いと評価できる状態にあること」という項目が甘過ぎると指摘され、その結果、J2、J3クラブのほとんどが赤字体質のまま放置されているのだ。高知も入会審査の際、財務基準に不備があると指摘され、解決を求められている。

このままの状態で高知がJ3に昇格したとしても、多くのJ3クラブと同様に資金繰りに苦しむのは火を見るよりも明らかだ。無理やり背伸びした状態でJ入りを果たせたとしても、“素人並み”のチームオペレーションを見ると、前途多難だと断じざるを得ない。