今季、無料招待券のバラ撒きが常態化していたとすれば、Jリーグ入会要件を満たすための“ドーピング”であり、かつ自腹でチケット代金を払い、純粋に応援するサポーターに対する背信行為だ。さらに言えば、“タダ券慣れ”してしまった観客がリピーターとなる保証などどこにもない。「カネを取るなら見に行かない」と考える方が自然だろう。
同様の集客作戦を実行し一時的なブームを起こしたものの、時の経過とともに急激な客離れを招いたケースはJリーグの歴史が証明している。今シーズンの平均入場者数は“作られた数字”なのだ。
ホームスタジアムの問題
昇格プレーオフに漕ぎ着けた高知だが、いきなり失態を起こす。12月1日の入れ替え戦第1戦で、ホームスタジアムの春野総合運動公園陸上競技場が使用出来ないことが判明したのだ。当日は304チーム2,548人が参加する、恒例のリレーマラソン大会が開催された。
入れ替え戦の日程はシーズン開幕前に伝えられていたはずで、高知側もそこに回る可能性があることは事前に分かっていたにも関わらず、スタジアムを所有する自治体側との日程調整すらしていなかったのは、フロントの怠慢としか言いようがないのではないか。そもそも入れ替え戦に食い込む可能性を、フロントが信じていなかったのかと突っ込まれても致し方ないだろう。
高知のフロントはナイターでの開催を模索したものの、照明照度がJリーグ既定の1800ルクスに遠く及ばない1000ルクスで、隣接する球技場も収容人数1,000人では問題外だ。結局、J3カマタマーレ讃岐のホームスタジアムであるPikaraスタジアムでの開催となり、約3,000人ものサポーターはホームゲームにも関わらず、100キロ以上の遠征を余儀なくされた。
仮に12月7日の第2戦でY.S.C.C.横浜を下し、J3入りを果たしたとしても、問題は先送りされたままだ。来シーズン開幕までに、照明照度はクリアできるのか。ナイター設備を増強するとして、スタジアム所有者の高知県に“おねだり”するのか。はたまた、選手に真夏の酷暑下でのデーゲームを強いるのか。