■別次元の「新時代」に突入
前出のアンケートでは、7割弱が「最初期の電子ジャーには炊飯機能がついている」と、勘違いしていたことが明らかになった。
炊飯機能が搭載され始めた時期について、タイガーの担当者は「1974年(昭和49年)、ついに当社の『炊飯ジャー第1号』が誕生しました。炊飯ジャーは、従来の電子ジャーの保温機能に電気炊飯器の炊飯機能をプラスした『1台2役』となります」と語る。
そう、かつては「かまど」か「電気釜」に加え、さらに電子ジャーという計2台のアイテムが無いと、ご飯の炊飯・保温ができなかったのだ。
しかし、彗星の如く現れた「炊飯ジャー」によって、たった1台で炊飯と保温が可能に。タイガーの担当者は「台所の場所を取らず、釜を洗ったりご飯をジャーに移したりする家事の負担も減りました。当時の主婦の方に喜ばれたそうです」と、その反響について説明している。
その後、火加減が調節できる「マイコン炊き」が生まれ、1992年(平成4年)には、『IH&インバーター制御方式の炊飯ジャー第1号』が誕生。
ただご飯を保温する、ご飯を炊く、といった時代から「ご飯の旨味を極める」時代へと突入したのだ。
それ以前の炊飯事情について、ターがーの担当者は「それまでのマイコン炊飯ジャーは、釜の底に搭載されたヒーターに内なべが接触し、加熱していました」「しかしこの仕組みは、内なべの底にご飯粒やごみなどがついてしまうと、ヒーターと接触できないことから熱がうまく伝わらず、ご飯が美味しく炊けないという欠点がありました」と、説明する。
しかし、IHは「電磁誘導加熱」によって釜全体が発熱することでこの弱点をクリア。安定して炊けるようになったほか、マイコン炊飯ジャーの2倍もの火力を出せるようになり、かまどの火力により近づくことに成功している。
その後、炊飯ジャーはIHが主流になり、現在ではヒーター式は低価格帯の製品を中心に3割ほどだという。