■7割弱が勘違いしていた…
炊飯器が当たり前の存在となっている現代の価値観では信じがたいが、保温ができる「電気ジャー」が誕生する以前は、保温性のある「ガラスジャー」でご飯を保温していたのだ。
しかしガラスジャーにも弱点があり、タイガーの担当者は「朝に炊いたご飯をガラスジャーに移したら、昼は温かく食べられますが、夜には冷たくなってしまいました」と説明する。
そこで「いつでも温かいご飯が食べたい」という人々の強い願いから、前出の電気ジャーが生まれたのだ。電気によって加熱保温するジャーの登場により、当時の人々は念願であった炊きたてのご飯を30時間もの間、味わえるように。
この「炊きたて」という点が重要で、タイガーからは「当社の炊飯器も『いつでも炊きたてのごはんが食べられるように』という思いから、『炊きたて』と名づけられました」とのコメントが得られている。
1968年(昭和43年)当時、携帯用魔法瓶をはじめに、ハンディポット、保温水筒、アイスクリーム容器など、いずれも魔法瓶をもとにした製品を発売していたという同社。
魔法瓶で培った技術や製造方法を活用し、家電用品総合メーカーとして多角化経営を目指している中で、電気ジャーの開発は急務だったという。
ちなみに、じつは40℃前後の環境ではご飯は腐敗しやすく、嫌な匂いも発生しやすい。こうした電気ジャーの問題点を改善できるのが、タイガー独自の保温断熱技術と、ヒーター方式の加熱保温機構だったのだ。
それから数年後、電気ジャー業界に「革命」とも言えるイノベーションが発生することに…。