首相の夫人だという地位を利用して自ら商活動に積極的に動いたファーストレディーは、スペインが民主化になってから彼女以外に誰もいない。それは違法的な行為として受け取られても、それに異論を唱える者は誰もいない。
それもそうであろう。一国の首相の夫人であるという地位を利用して、自らビジネスに関与すれば誰でも受け入れてくれるからだ。彼女の名前はベゴーニャ・ゴメス(Begoña Gómez)。スペイン現首相サンチェス氏の夫人だ。
彼女を野心家にしたのも、夫であるサンチェス首相が私的にできないことを彼女にやらせたという受け取り方もできる。何しろ、彼は政権にしがみつく為に自分への味方が増えると判断すれば手段を選ばない人物だからだ。
サンチェス氏が2018年6月に首相に就任すると、その2か月後にベゴーニャ・ゴメス氏はAfrica Centerと呼ばれた斡旋業を開始した。それはAPD Marocというモロッコで2万人の企業家が集まった組織を利用したものだ。Africa Centerの主要業務は事業の発展に資金を必要としている企業と接触して資金の提供などを斡旋しよというものだ。その資金は彼女の夫であるサンチェス首相の判断で国からの補助金を提供することになっている。
また公的企業の入札には彼女と関係を持っている企業に対して彼女が推薦状を認めて落札を容易にさせていた。縁故関係をビジネスに結びつけていたというものだ。
更に、彼女が関与していたのは公立のコンプルテンセ大学において「競争力ある社会変化」を学科として開設し、そのマスター取得のためのディレクターとなった。意外なのは、彼女は高卒で大学で修学した経験はない。勿論、大学修士の資格ももっていない。それでも首相夫人ということで、大学側では学長の独断で彼女に大学で教授資格を持っている教師をつけて、この学科を設けた。