ものすごい強権であり、たぶん不評なのだろうと思いますが、ベルギーからすると「わが国で過ごすのに最低のハードルはクリアしてもらわないと困る」という自意識の高さがうかがえます。
欧州は中東などからの移民や難民などで各国苦労しています。難民を受け入れた国家にしてみれば難民が一日も早く生産性を上げ、その国家で経済的便益を生み出すようになってもらわねば困るというのが本音です。
カナダでも新移民にはESL(English as a Second Language)を通じた英語のクラスを無償で提供しており、国家として移民に対して一定の投資をしています。ドイツも職業訓練に相当税金を投入していると理解しています。そのためには必死になってその国に溶け込む努力をしてほしいというのが願いなのでしょう。
では日本にくる外国人向けは、といえば日本語教育支援プログラムがあります。そしてそれ以前にビザの種類により日本語能力試験のN3やN2を求められ、企業によっては独自にN1とかN2レベルを足切にしているところもあります。私が感じる限り、日本に住む外国人はそれなりに日本語を一生懸命勉強していると思います。理由は簡単で英語に逃げることができないのです。日本人は英語ができないので万国共通語に近い英語が役に立たず、やむを得ず日本語を勉強するのでしょう。
そんな日本では帰化した外国人が議員になるケースもちらほら出てきています。日経によると世田谷区議にウズベキスタン出身者、茨城県議にカナダ出身者、山形県庄内町議にはシリア生まれエジプト育ちの方がいらっしゃるそうです。そう聞くと日本も国際化してきていると思います。
そんな中、私は先のベルギーの取り組みにあった国を知る講義を50時間取得させるというプログラムが非常に魅力的だと思うのです。私はできれば日本学という分野を展開するところを支援したと思っています。明治大学にはそのような学部がありますね。外国人に日本を知ってもらうという教育は大なり小なり是非ともやっていただきたいと思うのです。
そして日本ブームとなっている今こそ、文化庁あたりが主体となってミニ日本発見ぐらいの小冊子を成田空港で配るとか、そのようなウェブサイトを提供するなどして啓蒙をすべきだと思うのです。
今後、否が応でも日本には様々な国の方が住むようになるでしょう。その時、埼玉県川口市のような失敗をしてはいけないのです。第一歩を間違えてはいけない、そう考えながらプランしていただきたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月28日の記事より転載させていただきました。
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