(前回:混合診療を問い直す②:値上げの自由と公的給付は両立しない)
混合診療禁止の目的は、「値上げ防止」の一点のみと再定義すべき前回見たように、二階部分を自由開放して市場メカニズムに任せるような混合診療の解禁は、リスクが大きい。デフォルト設定を「禁止」としておくことには、一定の合理性がある。
しかしその目的は、「便乗値上げ」やその類似行為を防止して患者を守ること、と捉え直すべきだ。適正価格での併用まで禁止されてしまうのは、その副作用に過ぎず、規制の主目的ではない。
そう捉えると、現在の全面的に近い併用禁止は過剰であること、そしてどのような併用は引き続き禁止し、何は認めてもよいかという線を引くための考え方も、見えてくる。
第一に、追加行為を伴わない差額徴収は今後も禁止すべきだし、提供者が価格を自由に設定できるタイプの混合診療には慎重であるべきだ。(医師の技量に応じた価格差を認めるとすれば、自由な差額徴収ではなく、専門医制度などに基づき公定の診療報酬点数を加算する方がよい。)