訴因の一部棄却
またこのRICO訴訟の訴因41件のうち6件が13日、スコット・マカフィー判事(共和党)によって棄却された。トランプとその弁護士ら19人が起訴され、シドニー・パウエルら4人が検察側と交渉して有罪を認めたが、今回棄却された6件はトランプの10件のうち3件とジュリアーニの13件のうち3件だ。
トランプの1件は21年1月にトランプらがラフェンスペルガー州務長官(共和党)に電話を架け、「11780票を見付けろ」と促したとされる件だ。筆者はこれを報じた「ワシントンポスト(WaPo)」の文字起こしを読み、トランプは「郵便投票の署名と選挙人登録の署名の突合を求めていた」のであり、「WaPo」の見出しは印象操作だと本欄に書いた。
マカフィー判事は「検事の意見書には違反の性質に関する詳細が欠けて」おり、「被告側が弁護の準備をするに十分な情報を与えていない」ことを棄却理由に挙げている。判事は破棄した起訴内容を復活させるための新たな起訴を検察は求めることができるとも述べているが、ウィリスにとって打撃であることに違いはない。
J6事件もう一つ、1月6日の議事堂暴動事件(「J6」)についても、リズ・チェイニー元共和党下院議員(落選中)が実質的に主導したJ6特別委員会が、「トランプ大統領が首都を守るために1万人の州兵の派遣を進めた証拠を隠蔽した」との情報が8日の「フェデラリスト」によって明らかにされた。
チェイニーは、政府出版局のウェブサイトに「転写物、文書、展示物、そして綿密に調達した800ページ以上のJ6特別委員会最終報告書」を掲載していると述べている。が、J6委員会が実施したと主張する1000件のインタビュー記録のうち、そのサイトに掲載されているのは半分にも満たないそうだ。
J6委員会によるトランプのホワイトハウス(WH)側近トニー・オルナートのインタビューは22年1月28日に行われた。その中でオルナートはマーク・メドウズWH首席補佐官がワシントンD.C.のバウザー市長(民主党)に、市を守るために必要なだけの州兵を要請するよう耳打ちした、とチェイニーらに語っていた。
「政敵を訴追する民主党の取り組み」と非難されているJ6特別委員会の活動を再検討している下院政権監視小委員会委員長のバリー・ラウダーミルク下院議員(共和党)は、これらの文書は21年1月6日の出来事の真実ではなく、J6委員会の言い分を裏付けているとし、こう述べている。
J6特別委員会は、事前に決められたストーリーと矛盾するため、オルナートの重要証言を米国民から明らかに隠した。彼の証言は、メドウズがずっと言ってきたこと、即ち、「トランプ大統領は実際、国会議事堂の警備に1万人の州兵を派遣することを申し出たが断られた」を証明している。
この件では22年6月28日のJ6委員会でメドウズの上級補佐官ハッチンソンが、オルナートから「大統領は車の前方に向かって手を伸ばし、ハンドルを握った。エンゲルは彼の腕を掴み、『大統領、ハンドルから手を離して下さい。私たちはWHに戻るのです。議事堂には行きません』と言った」と聞いたと証言していた(エンゲルはビーストの運転手)。
22年1月の中間選挙で共和党が下院の過半数を制し、下院委員会の委員長ポストを独占して1年半、民主党によるトランプ潰し、即ちトランプのいう「司法の武器化」が徐々に無効化されつつあるようだ。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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