「あるいは『公益を名乗るのに、営業活動をしていいの?』と思う方もいるかも知れません。実は、この『営利を目的としない(非営利)』というのは、事業をしてはいけないという意味ではなく、普通の会社のように事業をおこなって得た利益を、団体の構成員(会社なら株主、財団法人では評議員)に分配せず、その団体の活動に使わなければいけないという意味です」(同)
公益財団法人も、設立目的の範囲内で事業活動をおこなっていいことがわかります。「公益」とか「非営利」という言葉から、無償のボランティア活動と思う方も多いようですが、それは違うのだと、著者は言います。
会計はパズルである「存続していくためには活動資金が必要です。お金がなければ活動に必要な資材なども買えません。そこで働いている方もいますが、趣味や娯楽ではなく、お仕事ですのでお給料を払わないといけません。ということは、運営にかかるお金以上に稼げないと続けられないことになります。自立して運営していくためには、お金を稼ぐ商いの感覚を持つことが大切になります」(著者)
著者は、会計は数字のパズルだと言います。事業の原因と結果は数字によって表されます。会計を知ることで、事業を継続・拡大させる方法やリスクを回避する方法がわかります。会計は、自分の活動を他人に見せる表現方法でもあるのです。
会計は、芸術や技術や医療など、あらゆる分野に関係し、ビジネスはもちろん、自分の未来を切り拓くための重要なツールであることがわかるでしょう。本書は、会計に近づきにくいと感じる方に、会計のやり方だけでなく、その背景やストーリーも伝えています。
本書は、著者が日芸(日大芸術学部)で会計を教えるというミッションから生まれました。芸術と会計は、意外にもつながっているのです。この本を読んで、会計の本質を理解し、会計のパズルに挑戦してみてください。
本書のテーマであるギャラ(出演料、作品料、サービス料など)には定価はあってないようなものです。定価がない「ギャラ」は、損益分岐点を探り当て、それから逆算すると把握しやすいのです。フリーランスに必要な会計の知識が、この1冊で簡単に理解できます。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
■
2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?