新種のホモ・ジュルエンシスと他種との関係

 呉氏とベイ氏は、中国の許家窰(Xujiayao)と許昌(Xuchang)という2つの遺跡から出土した10万年前から22万年前の化石に基づき、ホモ・ジュルエンシス(Juluren:大きな頭の人々)という新種の人類を提唱した。これらの化石は、1974年の許家窰における1万点以上の石器と21個の人骨片の発見、そしてXuchangでの4つの頭蓋骨発見を含む、数十年にわたる調査の成果である。

 ホモ・ジュルエンシスの特徴は、その大きな脳と厚い頭蓋骨に表れている。興味深いのは、その形態がネアンデルタール人に似た特徴を示す一方で、現生人類やデニソワ人に共通する特徴も併せ持っている点だ。このことから、彼らはホモ・ジュルエンシスが中期更新世の東アジアに広く分布し、ネアンデルタール人を含む様々な人類集団との交配を経て進化した可能性を示唆している。つまり、東アジアにおける人類の進化は、単純な系統ではなく、様々な系統の交雑による複雑な過程であった可能性が高いのだ。

“頭の大きな”古代人類の新種発見! Homo juluensisとは何者か?
(画像=中央アジアの人類遺跡とそこで発見された化石を示す画像 画像は「Live Science」より,『TOCANA』より 引用)

 しかし、ホモ・ジュルエンシスはすべての専門家に受け入れられているわけではない。例えば、ロンドン自然史博物館のクリス・ストリンガー氏は、これらの化石はホモ・ロンギに分類されるべきだと考えている。また、「大きな頭」という特徴だけで新種とするには証拠が不十分だという意見もある。

 それでも、この新種の提唱には重要な意味がある。ウィスコンシン大学マディソン校のジョン・ホークス氏が指摘するように、名称を与えることで、研究者間で特定の化石群についてより明確に議論できるようになる。ベイ氏も、新種の命名は、特に複雑なアジアにおける人類進化の理解を深め、研究者間のコミュニケーションを円滑にする上で重要だと考えている。ホモ・ジュルエンシスが正式な種として認められるかどうかは今後の研究次第だが、この議論自体が人類進化の複雑さを浮き彫りにし、更なる研究を促進する力となるだろう。

 古代人類の進化の過程は、複雑で謎に満ちている。今回のホモ・ジュルエンシスの発見は、その謎を解き明かす新たなピースとなるかもしれない。今後の研究で、この新種に関する更なる情報が明らかになることを期待したい。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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