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選定結果否決の問題点

佐倉市議会が、諮問機関が答申した「草ぶえの丘」の指定管理者の選定結果を、過去二回にわたり否決しました。

その否決行為の問題点について説明します。

まず基本的なことをお話しすると、行政が保有する施設Aに指定管理者制度を導入する場合、行政は二段構えの議決を経る必要があります。

① 施設Aに対する指定管理制度導入の可否

施設Aを、こんな仕様で、この金額範囲で、何年間指定管理者制度で運用してよいですか?

この議案では、当然指定管理の仕様全般が議会の審議対象となります。この議案が議会で可決してようやく、行政は指定管理を任せる事業者の選定事務をはじめることができます。内容としては、選定のための諮問機関の設置、業者の公募、選定審査日の決定と実施等です。以上が完了し、選定事業者の答申が整った後、今度はその選定事業者を管理者と認めることの可否を議決します。

② 施設Aの指定管理者を、答申通り業者甲にすることの可否

指定管理の選定審査の結果、業者甲が選定されましたので、「①」の仕様のとおり業者甲に施設Aの管理を任せてよいですか?

以上でわかるとおり、「②」の業者選定の審議では、すでに「①」の指定管理の仕様については可決していることが前提となります。したがって、もし「②」の段階で、指定管理の仕様を理由に選定事業者を否決したら、それは自分たちが可決した仕様を否定することとなります。つまり、理論上「②」の段階で、指定管理の仕様を理由に否決することはできません。

前の原稿でもお話ししましたが、「②」の段階で議会が選定事業者を否決できるのは、例えば選定事業者が不正を働いた場合や、選定事業者の経営状態が著しく悪く、倒産寸前であることが発覚した場合、あるは「①」の段階で議決した内容のとおりの仕様ではない、つまり行政が勝手に仕様変更した場合等、きわめて限定的なものになります。