米国の教育現場はブラック企業化している。この状況が次の欠員補充になる教師を遠ざけることになるのは想像に難くない。どうすればいいのだろうか?

コストを引き受けるのは社会全体

本来は教育サービスの提供に従事するはずの教師たちは、カウンセラーや雑用まで求められた結果、すでに限界を迎えている。そしてこの潜在的、本質的な被害者は教師や子どもたちに留まらないだろう。

社会は人で成り立っており、その人の質を決めるのは教育である。この惨事が続けば人的ソフトウェアの質的な低下は避けられず、犯罪の増加、さらなる社会問題の呼び水になってしまい最終的に高いコストになり社会全体で支払いを余儀なくされる。

とりわけ愛なき精神的居住空間としての役割を失った家庭の子供にとって、学校は唯一のシェルターになっていたはずだ。実体験として筆者は子供時代、家庭で不和が続いた時、あえて学校に残り心の安定を取り戻せた記憶もある。あの時、自分の心を温かく包んでくれた教師や友達には今でも感謝を忘れてはいない。だが、そんな教室は今、この動画のタイトルが示す通りクラスルームに教師の姿は見えない。そして消えた教師が戻る算段は、今のところ、ない。

アメリカで起きている惨状は、減り続ける日本の学校教育志望者が暗示しているように思える。学校のブラック企業化を食い止めるにはどうすればよいのだろうか? シンプルにリソースが必要なことは明白である。予算をあて、人員を増やし、教師は教育サービスにコミットメントができる環境作りが必要だろう。

問題は言葉通り簡単に事が進まない点にあるだろう。これまでは教育関係者が無言でその重圧に耐えてきた。しかし、その臨界点に達したことが示された。具体的な解決策は、今我々の双肩に託されている。問題から目を背けてもなんとかなってきたタイミングは、もうとっくに過ぎたのだ。

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