■ユダヤ教の“究極奥義”「ブルサ・デヌーラ」

 さて、ユダヤ教過激派が実行した呪いの儀式「プルサ・デヌーラ」は、破滅の天使としてのメタトロンを呼び出し、相手の破滅を願うものなのだ。そして呪いの対象となったのが、時のイスラエル首相アリエル・シャロンであった。

 シャロンは1928年、イギリス委任統治時代のパレスチナに生まれた。1948年のイスラエル独立戦争以来、イスラエルとアラブ諸国の間で戦われたすべての戦争に参加し、特に第三次中東戦争や第四次中東戦争では数々の武勲を挙げた猛将として知られた。彼の率いる部隊は勇猛であったが、時には無理な作戦を決行し、結果的に勝利はしたものの不必要な損害を出したと非難されることもあった。このため、イスラエル国防軍最高の地位である参謀長就任を阻まれ、退役後政界に転じた。

ユダヤの儀式で“呪殺”?残酷な天使を降臨させる呪いの儀式「プルサ・デヌーラ」とは?
(画像=シャロン首相 「Wikipedia」より引用,『TOCANA』より 引用)

 政治家になってからも、シャロンのパレスチナ人に対する強硬姿勢は相変わらずで、1982年にはレバノン侵攻作戦を事実上指揮し、2000年には彼がイスラム教とユダヤ教双方の聖地である神殿の丘に足を踏みいれたことが原因で、大規模なパレスチナ人蜂起が発生した。ところが、首相を務めていた2005年、このシャロンが突如パレスチナ自治政府との和解を宣言し、占領地のガザから撤退すると宣言したのだ。これに反発したのが、シャロンよりさらに過激なユダヤ教勢力であった。

 このユダヤ教勢力は、2005年7月21日夜、イスラエル北部ロシュ・ピナの墓場に集まり、シャロンに対し「プルサ・デヌーラ」の儀式を行った。詳しい儀式の内容は公表されていないが、「プルサ・デヌーラ」は通常、墓地にある洞窟の中で行われ、24本の黒いロウソクを灯して破滅の天使に相手の破滅を祈願する。儀式においてはユダヤ教の角笛ショファールが吹き鳴らされ、最後に鉛の球や陶片をロウソクに投げつける。

 そして、ガザ撤退完了後の2005年12月、シャロンは軽い脳梗塞で倒れた。さらに翌年1月に再度発作を起こし、植物人間状態となった。その後、意識が帰らぬまま2014年に死亡したのだ。

 シャロンが倒れたことが、果たして呪いの結果によるものかどうかは実のところ不明である。しかし、儀式を行ったユダヤ教徒たちは、当然ながら自分たちの呪いの効果を強調している。他方イスラエル警察は、「このような行為は刑法犯に該当しないので、捜査は行わない」と述べている。いずれにせよ、2005年7月に呪いの儀式が行われ、その直後にシャロンが倒れて植物人間と化し、結局意識が戻らないまま死亡したのは、歴史が証明する紛れもない事実なのである。

文=羽仁礼

提供元・TOCANA

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