多くの有権者に見限られてしまう
私は国政選挙や東京都知事選のテレビの選挙報道について、この10年あまりウオッチしています。そうした立場でいえば、今年2024年は、かつてないほどSNSの影響が選挙の結果に影響を与えるという節目の年になりました。東京都知事選での石丸旋風、衆議院選挙での国民民主党の躍進、さらに今回の兵庫県知事選とますますYouTubeを含むSNSを活用できる陣営が有利になるという図式が明確になっています。
では、マスコミの代表であるテレビはこれからどうするのでしょうか。フジテレビの『Mr.サンデー』の宮根誠司さん、TBSの『THE TIME,』の安住紳一郎さん、TBS『Nスタ』の井上貴博さんなど、各番組のメインキャスターが今回の兵庫県知事選の結果を受けて、テレビ番組のなかでショックを受けて、動揺を見せたりしています。でも、これからの選挙報道をどうするのかについて具体的に述べるキャスターは登場していません。テレビというメディアはどうしても「横並び意識」が強い傾向があります。どこかの局や番組が実質的な意味での「公平・中立・公正」な報道を担保しつつも形式にとらわれない大胆な試行錯誤に挑戦してほしいと思います。放送のなかではできないとしても、局が運営するサイトでそうした報道に取り組んでほしい。
次の選挙(たぶん来年夏の参議院選)でそうしたステップに取り組むことができないならば、今後こそ、多くの有権者に見限られてしまう。そんな強い危機感を持っています。テレビ局の調査報道の能力を生かした信頼できる選挙報道に本気で取り組むために――。2025年はその真価が問われる年になると思います。
(文=Business Journal編集部、協力=水島宏明/上智大学文学部新聞学科教授)
提供元・Business Journal
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