接種歴が不明の24,490人については、接種者と未接種者に分けなければならないが、接種歴が判明している130,713人のうち、未接種者は7,829人(6%)であることから、調査対象の未接種者の総数は、147,374人×0.06=8,842人と推定される。確定している未接種者数は7,829人であることから8,842人―7,829人=1,013人が接種歴不明者のうち未接種者が占める人数である。

次に、接種歴不明者のうち、接種歴があると考えられる人数を、24,490人―1,013人=23,477人と推定した。この23,477人を先と同様に1〜5回に振り分けた。接種歴不明の死亡についても、接種回数が判明している425人の接種回数の割合に応じて、0〜5回目に振り分けた。

こうして得られた回数別の接種者数と死亡者数から計算した接種回数別の死亡率を表2に示す。未接種者、1回目、2回目、3回目、4回目、5回目接種済みグループの死亡率は、2.06%、1.48%、1.03%、0.58%、0.35%、0.23%で、先のデータと同様に接種回数を重ねるごとに死亡率は低下した。

表2 情報不明者を0〜5回接種済みに振り分けた場合のワクチン接種回数別の死亡率神奈川県健康医療局医療危機対策本部発表データを改変

ところで、今回の研究は、診断日が昨年7月1日から12月20日までのコロナ感染者を対象としているので、ワクチンの接種回数によって観察期間が異なる。

死亡率の算定は、分子を観察期間中に把握された死亡者数、分母を各グループの接種者数として計算される。未接種者群では、7月1日から12月20日までの25週間に観察された死亡数が分子となる。一方、わが国で5回目接種が開始されたのは、昨年の9月20日頃なので、5回接種済みグループの観察期間は、最長でも12週以内である。

このように観察期間が異なる集団の死亡率を比較するには、人年法によって死亡率を計算することができる。人年法における分子は死亡数であるが、分母は、対象者の観察期間を合計した人年となる。本研究のように対象集団の人数が多い場合は、観察期間の中央値に人数を掛けて人年とすることができる。