本来、三菱重工、三菱電機、沖電気、川崎重工、NEC、島津製作所、日立、富士通など、これらの同じ分野のメーカーの事業を統廃合すべきです。例えばフランスのタレスのような企業を目指すべきです。
零細規模で人数も売上も少ない事業に、少しばかり人参を与えたところで、それは単なる補助金に過ぎません。まともな研究開発のための陣営を強化したり、開発能力を高めたり、コスト削減のための方策なんぞはできません。いずれは事業が継続できなくなって、散々税金を浪費した挙げ句に事業を整理することになります。
何度もご案内ですが、ソナーにしても沖とNECがパッシブとアクティブで棲み分けをしており、両者ともに音響工学の博士号保持者もおらず、開発能力は極めて低いレベルです。
ソナーにしてもソノブイにしても解析装置にしても欧米にかないません。
実際にイージス艦に搭載された基本設計が古いソナーに、DDに搭載された国産ソナーは太刀打ちできません。潜水艦のソナーも同様です。
かつてのタレスジャパンの社長だった、故ミッシェル・テォバル氏に聞いた話ですが、タレスのソフト開発の拠点がパリ郊外にあり、顧客を連れて行ったそうです。「このビルでみなさんがお使いになる、ミサイルやソナーのソフトウェアが開発されているのです」と説明すると皆感銘を受けたそうです。そのような分厚い陣容の開発や研究者は日本のどのメーカーにもおりません。
そして外国に輸出する気もないので、他国のメーカーと本気で技術競争もコスト競争もする気がない。天下りさえ受け入れておればクズも買ってくれる。本来バウソナーが必要なかったいずも級にもソナーを据え付けて、何百億円もの税金を浪費してソナーを調達し、その後定期的にラバーのカバーを交換して暴利を貪ることができる。しかも海自はただでさえ乗組員の確保に苦労しているのに、本来不要なソナー要員を配置して、まずますます艦艇乗組員の充足率を下げています。
これが国防強化になるのでしょうか?
自民党の元気がいい国防部会の先生方はそう信じているようですが、納税者に取っては悲劇です。
ベンチャーや中小企業にいくら投資しても、このようなアンシャン・レジームを温存した状態では彼らが画期的な装備を開発しても採用される可能性は低いでしょう。
それにベンチャーや中小企業を育成するつもりならば、他国と同様に調達計画を明示すべきです。
それができないのは防衛省が無能だからです。他国は皆やっているのですから。
例えば新しい装備を開発したとして、その調達が何年かかるのか分からなければ、事業計画は本来立てられません。それでも大手は図体が大きいし、借り入れも楽ですが、小さい会社はそうは行きません。例えば採用されて5年間の生産計画が立てられなければ、売上は立ちません。そんなことも分かっていない買い物官庁に開発を指導する能力があるわけがありません。
更に申せば、武器輸出の制限のない装備、例えばトラックや需品のブーツなどはどんどん輸出ができるはずです。メーカーや防衛省、自衛隊が自画自賛している通りであれば、簡単に輸出は拡大できるはずです。特に自動車メーカーは世界に既に販売とサービス網があるわけです。ところが防衛省はこれを推奨しない。
もしかして「川口浩探検隊」ですか?
♫こんな大発見をしながら 決して学会に発表しない 川口浩の奥ゆかしさに 僕らは思わずぐむ♬
実は海外では使い物にならないのではないですか?違うというのであれば、輸出させるべきです。そうすればメーカーの売り上げも増えて、自前の開発費や設備投資もどんどんでてきて、税収も増えるでしょう。なぜそれをやらせないでしょうか?
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月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。
軍事研究 2024年 04月号 [雑誌]
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Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
・次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
・次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1 駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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