企業や公官庁での限定的な使用も始まっています。つまり、「最新の技術を使わない理由はどこにもない」ということです。これを使うことで今までと仕事のやり方が変わる、質の低下を招くといった弊害を並べていても意味がないという訳です。90年代にワープロが出来てパソコンが出来た際に社会人はそれを習得するのがマストであったように生成AIは今後様々な応用で社会の中に組み込まれていくことは必須です。好む好まざるにかかわらず、それを選択せざるを得ないということです。

そう考えると今回の生成AIはこのところ大ヒットが少なかったハイテク業界にとって救世主のような位置づけになり、急激な盛り上がりが期待できるとみています。

とすればソフトバンクGが傾注するハイテクのスタートアップにとってはファンダメンタルズとしては悪くない環境にあります。ただ問題は金融環境が異様に悪いのです。銀行は貸さない、投資家も疑心暗鬼にあるため、唯我独尊、我が道を進むGAFAMなど資金的余裕があるところが先行して一気に開花していくとみています。一部ハイテク株の上昇はそのあたりの背景があるのです。

ソフトバンクGに関してみれば所有していたフォートレスを今般4000億円規模でアラブの企業に売却する予定など手持ち資金を大きく拡充してきています。既に5兆円規模で更に積み増しし、そのうち6兆、7兆円と増えるのでしょう。「江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ」という諺がありますが、ひろが作る現代版諺は「投資家のもつ現金は金を生まぬ」なのです。つまり投資してなんぼなのです。よってさほど遠くない時期に一気呵成に攻め上げるとみています。孫正義氏はいつまでも静かにしていないだろうと思います。

孫氏が有利であるポジションは日本の金利は低いこと、つまり投資したリターンの方がはるかに大きくなりやすい環境にあるのです。もしも日本で金利が4-5%もつけば投資をせず、じっとしている人ばかりになるでしょう。ですが、いまの金利とインフレ率を比べると現金は明らかに負けなのです。皆さんは日々どんどんお金を失っているのです。孫氏も同様です。だから、投資をせざるを得ないのです。

日々株価ボードとにらめっこしている肌感覚ではハイテクが今の相場を引っ張っていきそうだとみており、当面はリーディングセクターになりうる公算があるとみています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月12日の記事より転載させていただきました。