アグレッシブな弁護活動
山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「民事訴訟において、相手方が予定している『証人』に出廷してほしくないという考えは、弁護士にとって一般的によくある話です。また、可能なら、事前に接触したいという考えもあり得る話です。実際、刑事事件の『証人』とは異なり、『民事訴訟の証人』への面会を強要したり、威迫したりする類型の行為は禁止されていない(刑事事件の場合、『証人威迫罪』があります)ので、相手方が予定している『証人』に接触しようとすること自体は違法ではありません(もちろん、強要行為、威迫行為自体が、別の犯罪を構成する場合はあります)。
この田代先生も、結局は、『A子』さんと接触したいためにX氏を通したのでしょう。しかし、その際、『(X氏)先生とその女性が不倫関係にあり、そのことを記事にしたいなどと言っているマスコミがいます』と、わざわざ告げる必要がありますかね? X氏から『A子』さんを紹介することを断られた時点で、『A子』さんに接触するというこの田代先生の目的が達成できなかったわけですから、『そうですか。では、失礼します』として引き下がるのが品位ある態度ではないでしょうか。捜査官は、引き出したい供述がなかなか得られない場合、こういった発言(本論とはあまり関係のない話で相手方が嫌がる話を引き合いにする発言)をするのが常とう手段なのでしょうか、と疑いたくもなります。
次に、興信所に依頼したとのことですが、これ自体も違法な行為ではありません。実際、私もある事件において詐病が疑われる相手方の素行調査を依頼したことがあります。
ところで、田代先生が発表したコメントに付けられた『添付資料』ですが、“出来すぎ”の感じがしますね。何の根拠もなく、なんとなくですが、説明の仕方、日付や場所、自宅の書き方、『』の使い方などが素人ではない気がします。この点は、田代先生が指摘するように、“はめられた”感がありますね。私も18年弁護士をやっておりますが、相手方の弁護士の活動について、『やられた~』と思うことがありますし、『やってやったぜ』と感じることもあります。証拠の収集は弁護士の腕の見せ所だと考えています。私は、訴訟等の業務の中で証拠収集や法的手続きの選択においてアグレッシブな弁護活動が好きなので、どちらかと言うと、この田代先生の弁護活動、気に入っております」