言い換えれば週刊誌的ネタで岸田氏個人の判断をするのは間違いで本質的に見て岸田氏を判断すべきなのです。

で、お前はどうなのか、と聞かれたら正直申し上げますが、「どなたかと代わってもらいたい。だけどタマがない」が個人的な意見です。政界に通な方は即座に5-6人の名前が上がるでしょう。もちろん私も知っています。が、どの人も私から見ればジュニアなんです。

欧米ならば多少、粗削りでもサポートする仕組みがあります。ところが日本の場合はパーフェクトを目指さないと必ず引きずりおろされる、それが日本の国民性なのです。もう一点は様々なニュースや意見に関して重要度や優先度をつけないまま、メディアが順不同に並べるので読み手や聞き手が混乱しているのです。国家受難のニュースの次にどこかの飲食店で食中毒があったといった極めてマイノリティな問題が並んでいても読者はそれを判断できず、「まぁ!」となるわけです。

残念ながら日本の選挙民は自分の考えよりもメディアなどが放つ色や味や匂いがたっぷりしみ込んだ情報に翻弄されているのです。故に首相などトップに立つ人は受難であり、「カエルの面にションベン」ぐらいの肝がないと務まらないのです。小池都知事なんて肝が太いだけでなく分厚い化粧の仮面もあるせいか、翻ることはありまえせん。あれぐらい芯が座っていないとトップなど出来ないわけです。

その点からみれば岸田氏は何が起きても冷静沈着、顔色が変わらない点は大したものです。ただ、2年強やって日本が失ったものもあります。それは世界の中でのプレゼンス。もう一つが日本の向かう道を指し示していないこと。この2つです。安倍氏は両方あったのです。そして世界の中で日本にスポットライトが当たり始めました。構造改革は志半ばでしたが、議論を通じてその必要性を十分に浸透させました。が、岸田氏は両方足りないのです。

なので私から見れば岸田氏は「アドミニストレーター」。つまり首相という名の事務処理係でしかないのです。よって誰かに代わってもらいたいけれど私の見る限りでは難しいところです。

ではお前ならどうすべきと考えるか、と言われたら「副首相を5名ほど立てよ」です。そして各副首相に国家の最重要な問題、例えば外務、国家安全、経済、社会、国務について相当の権限を与えながら首相は全体を統率する、というスタイルです。なぜか、といえば今の50代から下には一人で全てを抱えこむということは育った教育環境、生活環境、社会環境を含め、そのようなスタイルに不慣れである、よって集団体制が日本にはふさわしい、というのが私の考えです。

現実的に出来る出来ない、という話ではないのです。何があるべきか、理想をまず掲げる、そしてそれに向かえる方法はあるのか、と考えることが重要なのです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年11月16日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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