官製談合をストップさせるための一番わかりやすい方法は、違反が見つかる可能性(発覚率)を高めることである。仮に100%見つかるのであれば誰もやらないだろう。そういった仕組みは新潟県ではできているか。

もう一つ、見つかったときの制裁を重くすることだ。見つかってもお咎めなしでは意味がない。官製談合防止法に刑事罰が導入されたのは今から20年ほど前であるが、それからしばらく同法違反罪は収賄絡みでない場合にはほとんどが罰金刑で終わっていた。執行猶予付きであるが拘禁刑がスタンダードとなったのはこの約20年の間の後半においてである。しかし抑止効果としてこれで十分か。

地方自治体の発注の場合、談合に参加する業者の多くは地元企業であろう。それは当然の話で、そもそも地域要件(入札参加資格を地元企業に限定すること)が厳しくかかっているのであるから、限られたメンバーの間での競争である。指名競争が一般的で一般競争が一般的でない地方自治体はいまだ多い。そんな中での官製談合である。業者にそこから脱出しようという動機が生じる方が不自然である。

官側の意向に沿うことが業者にとって唯一生き残る方法だと思われてしまえば、関係者の行動が変化する訳がないし、環境を変えようとも思わない。その背景に「公正に競争が行われると資金力のある会社が勝つのは目に見えていて地元の経営基盤が弱い会社はつぶれてしまう」という事情があるのであればなおさらである。関係者は「やむを得ない」という意識なのである。

入札談合が必要悪といわれた時代はとうの昔に過ぎたと思われているようだが、実際はそうでもないようだ。しかしその「やむを得ない」は自分達にとってのものであって、社会全体にとってのものなのか。少なくとも地域住民にとってそうなのか。今一度考えてみる必要がある。そしてもしそうだ、と言い切れるのであれば、なぜ官製談合などする必要があるのか。競争などさせないで随意に契約すればよいだけではないか。制度がおかしいならば制度を変えればよい。

問題は「いっていること」と「やっていること」の乖離にある。「競争させています」といって「競争させていない」。それが有権者、納税者に対する裏切りであり、それが非難されているのである。

嘘の中で人を育ててはいけない。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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