今回は、イラン側の報復攻撃に対する捉え方とその評価についてIRNA通信の報道から紹介したい。「イランは、4月初めのシリアのイラン総領事館に対するイスラエル政権による攻撃に対抗し、13日にイスラエルの標的へ報復攻撃を開始した。イスラエル政権を懲罰するイランの軍事行動に関しては7つのポイントがあり、大規模作戦のさまざまな側面を浮き彫りにしている」と指摘、イラン側のイスラエルへの報復攻撃の意義とその評価について解説している。

イランの攻撃はイスラム共和国とイスラエル政権との最初の直接対決だった。これは歴史問題を考える上で非常に重要な点だ。占領地の奥深くへの効果的な攻撃は、1967年以来イスラム諸国の果たせなかった夢だったが、この地域の抵抗運動の発祥地による努力のおかげで、それが実現した。史上初めて、イラン航空機がこの聖地の上空でアル・アクサ・モスクの敵を攻撃した。 ダマスカスにあるわが国(イラン)の外交施設へのイスラエルの侵略に対するイランの軍事行動は、侵略者を処罰するというイスラム共和国の約束の履行を示したことにある。イラン攻撃は、イスラエルのネタニヤフ首相がイラン外交使節団への攻撃を通じて、ガザでの政権の大敗による圧力から逃れ、勝利を偽装するために断片化したシオニスト世論の注目を集めようと腐心してきた時期に起きた。 イスラム共和国によるイスラエル陣地への攻撃は、10月7日のパレスチナの「アル・アクサの嵐」作戦に続く、イスラエル政権に対する2度目の戦略的攻撃だ。「アル・アクサの嵐」作戦は、パレスチナ抵抗勢力の人気を高めた。イスラム共和国の約束履行を示す軍事行動も、地域におけるイランに対する国民の支持を高めるのに大きく役立つだろう。 イランの軍事作戦はイスラエル政権とその同盟国の防衛システムによって鎮圧されるだろうという憶測があった。しかし、イランの無人機とミサイルは所定の軍事目標に命中し、米国と英国の防衛システムが機能しなかったことを多数の画像が証明した。作戦の規模、正確さ、戦略的計画は、シオニストに衝撃と驚きを与えた。 イランから占領地への懲罰作戦は、広大な地理的地域(出発点と目的地)を網羅して実施され、イランがいかなる状況にも完全に対応できる準備が整っていることを明確に示した。 ミサイルと無人機が占領地に到達する数時間前に、イスラエルに対するハイブリッド作戦の開始に関する革命防衛隊の早期発表は、イランの準備、自信、確信のレベルを示した。シオニストへの処罰とイスラム国家の内部強化に成功した。 数百発のミサイルや無人機の集中的攻撃は、イスラエル側が反撃を開始したとしても壊滅的な打撃を受ける結果となることを認識させただろう。

戦争時の広報は多くはプロパガンダだ。だから、それを聞き、読む者は流れてくる情報の真偽を慎重に分析しなればならない。IRNA通信の「報復攻撃の7つのポイント」の内容は、イスラエル側の広報とは違い、余裕はなく、一方的な思い込みや願いを事実のごとく解釈する傾向がみられる。それでも、イラン側の事情を知る上で役立つ。特に、①はイランを含むイスラム諸国の潜在的な願いを理解させる。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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