ソニー。私は1年ぐらい前に楽天とソニーなら楽天株です、と申し上げました。事実、ソニーは昨日時点で1年前に比べ7%下がり、楽天は3割上げています。理由は明白でソニーはプレステにこだわり続ける必要があるもののゲーム機市場の変化の取り込みに苦労し、経営的に足を引っ張っていると申し上げたかと思います。今回、3年間の中期計画で成長投資を1.8兆円とすると発表しました。これは評価します。ただし、仕掛けているパラマウントの買収は個人的には失敗した方がソニーのためになると思います。
ソニーは「昔とった杵柄」に妙にこだわることがあるのですが、ソニーのDNAである革新的な分野に突っ込んで行って欲しいところです。この色付けは社長の手腕によるところが大きいですからソニーの成長は社長の腕次第と申し上げておきます。
三越伊勢丹も不動産開発に5000億円投資と報じらています。良いことです。ただし、内容がピンとこないのです。「…同社は百貨店と周辺の不動産を活用し、商業施設やホテル、オフィスなど複合型の再開発事業を計画」(日経)とあります。これ、超つまんない事業です。伊勢丹新宿店の成功は何か、もっと深堀し、誰にもまねできない事業を計画してもらいたいのです。
同店に最近ルイヴィトンが初めて入店したのをご存じでしょうか?「百貨店七不思議」があれば間違いなく入っていた話で、それだけで書籍が一冊かけるほどのストーリーがあります。ルイヴィトンを入れないぐらい新宿伊勢丹は強くて負けなくてとんがっている店舗構成のポリシーを持っているのです。それが同店の最大の魅力である点を考えると5000億円も突っ込んで普通のデベがやる事業はちょっと物足りないですね。
賢い成長投資とは既存の事業への追加投資は本質ではないと思います。人々の思う3歩先を行く投資ではないでしょうか?時々10歩先をいく投資を目指す会社もありますが、それでは需要側や消費側がついていけないのです。つま先立ちのちょっと上ぐらい、これが最高のコンフォートゾーンです。
ただし、それらは競合がどんどん出てくるので事業をどんどん刷新していくチカラも併せてもつ必要があります。また、時として既存事業をバッサリ切ることも大事でしょう。また世界に目を向けたあるべき方向性を感じ取り、さすが日本と言われるセンスを経営陣は磨いてもらいたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月15日の記事より転載させていただきました。
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