一方、小柄なためゴール前の空中戦で相手と身体をぶつけて競り合うのにはあまり向かない。しかしプレースキッカーとして優れ、しっかりとセットプレーの居場所を見つけている。いつどこにボールを蹴れば、味方選手に合うかというシミュレーションを行い、そこにピンポイントでボールを届ける技術力が伴っている。

モドリッチはプレースキックをした後に、身を乗り出して目でボールを追う。これは、ボールが飛んでいって味方につながる軌道を脳内でイメージしているため、それが体の動きにも表出しているのだ。


ルカ・モドリッチ 写真:Getty Images

研ぎ澄まされた守備の読み

接触プレーにおいては、アメフトのように真正面から体当りしたら不利だが、身体がぶつかる状況になる前にもう勝負を決めているモドリッチ。重要なポイントにいち早く入るため、小柄な外見とは乖離した守備力を発揮する。

駆け引きと読みに優れるため一歩目が早く、インターセプトやタックルに入るタイミングが早い。相手にぶつかる前にもう次の展開が頭にあり、ボールを奪うなり、あわよくばそのまま攻撃に転じる。


ルカ・モドリッチ 写真:Getty Images

中盤のユーティリティプレーヤー

モドリッチの洞察力と状況判断力は天賦の才だろう。中盤のどこでもプレー可能だが小柄なため、ヘディングが多くなるアンカーではなくインサイドMFやサイドMFに配置されることもある。少し前掛かりのポジションのほうが攻撃力が活きるというものだ。

ドリブルよし、パスよし、シュートよし、そして守備よし。ポリバレントなミッドフィルダーということができるだろう。