11月21日より、全国のガストで「至福のフレンチコース」がスタート。白金台のレストラン「L’allium」の進藤佳明シェフが監修した本格的なフレンチコースメニューを、税込1990円というお手頃価格で味わうことができます。
ファミリーレストランで味わう本格フレンチ、果たしてそのお味は……? 発売初日に体験してきました。
「至福のフレンチコース」では、3種の前菜盛り合わせ「サーモンマリネのグジェール」「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」「帆立のバターソテー」に始まり、スープメニューとして「カリフラワースープ ~カリカリパンチェッタとクルトン添え~」と続きます。
メインメニューは「ビーフ100%ハンバーグ ペリグーソース ~ごぼうのチップをのせて~」「卵の赤ワインマリネ、クリーミーマッシュポテトと温野菜」の2皿、最後にデザートとして「ブランマンジェプラリネ」の、あわせて7品が提供されます。なお、メインメニューへの付け合わせは、ライスかフランスパンのどちらかを選べます。
今回メニューの監修を務めた進藤佳明シェフは、2003年にフレンチレストランの殿堂「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」にてロブション氏のエスプリ(真髄)を受け継ぎ、2007年に同店の副料理長へ就任。その後、2012年に白金台のフレンチレストラン「ジョンティ アッシュ」料理長に就任し、ミシュランガイドの「一つ星」を5年連続で獲得しました。
2018年の独立後は、自身の集大成となるレストラン「Restaurant L’allium」を白金台にオープン。そんな華々しい経歴を持つフレンチの巨匠が手掛ける本格的なフレンチコースをガストで、しかも1990円という手頃な価格で味わえるのだから驚きです。一部でなく、全店舗で展開というのも嬉しいところ。発売当日に最寄りのガストへ足を運びました。
席につくと、テーブルに置かれた「至福のフレンチコース」のメニューブックがひときわ目を引きます。
タブレット注文が浸透したいま、すっかり珍しくなったメニューブック注文。こうしたところにも「レストラン」としての本気度を感じます。
通常、ガストでは注文すると「ネコ型ロボット」が食事を運んできますが、今回の「至福のフレンチコース」では、店員さんがすべてのメニューを一皿一皿、丁寧に席まで運んでくれます。この感じも「フレンチレストラン」の雰囲気たっぷり。
■ 一口あたりの味のボリュームにビックリ! 前菜から本気度が爆発
まずは前菜として、「サーモンマリネのグジェール」「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」「帆立のバターソテー」の3品をいただきます。
「サーモンマリネのグジェール」は、サクッと焼き上げた一口サイズのシューにスモークサーモンをのせた一品。シュークリーム以外に「料理」として「シュー」を食べるなんて、初めての経験でビックリ。こんがり色のシューと鮮やかな橙色のスモークサーモンが、なんとも食欲をそそるコントラストです。
人差し指サイズのかわいいシューをつまんで、口の中へ。お菓子のような見た目とは裏腹に、サーモンの濃厚な塩味とコクが大きな余韻として広がります。その勢いは口を動かすごとに強くなっていき、いつしか鮭を一匹まるごと食べているかのような満足感に浸れます。まさかフィンガーサイズのメニューで、ここまで「一皿感」を味わえるとは……。
続いていただいた「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」は、「チコリ」の名前でも親しまれるキク科の野菜、アンディーブを千切りにし、柚子果汁のドレッシングをあしらったメニュー。キャベツとセロリを合わせたようなシャキシャキ食感を柚子果汁のシャープな酸味と香りが引き立たせ、ひとときの刺激とともに、甘くさわやかな後味を演出します。
そして「帆立のバターソテー」。少し焦がして香ばしさをつけた、北海道産ホタテのバター焼きです。焦げの香ばしさとバターのこっくりとした風味が舌を喜ばせつつ、ホタテが持つほのかな甘味とじんわり豊かな旨味をしっかりと楽しませてくれる、まさに「引き算の妙」を感じられる一品です。
■ ほのかな甘味と上品なコク、穏やかながらもメリハリのきいたスープ
前菜の時点ですでに一つのコースかと思うほどの食べごたえですが、「至福のフレンチコース」はまだ幕を開けたばかり。続いてスープメニュー、「カリフラワースープ ~カリカリパンチェッタとクルトン添え~」をいただきます。
こちらは、ふわふわとクリーミーに仕立てた、カリフラワーとブイヨンのスープ。シチューを思わせるやわらかな白色には、黄金色に輝くオリーブオイルがのせられています。スープに加え、別皿でカリカリに焼いたパンチェッタとクルトンが添えられ、食べ始めに合わせるスタイルです。
スープはトロリとしつつ、ほんのりカリフラワーそのものの質感を感じられる、裏ごしのような舌触り。野菜のやさしい甘さにブイヨンの旨味がそっと寄り添い、絶妙な量のオリーブオイルがさりげないコクを与えます。なんとも上品な味わいです。
カリカリに焼いたパンチェッタがかもし出す塩味とワイルドな肉の風味、そしてクルトンの小気味よいカリカリ食感と香ばしさもいいアクセント。穏やかながらもきちんとメリハリある、豊かな食事を味わえました。いろんな角度から眺めるように味わえるところに、フレンチの「趣」を感じます。