フジテレビの7~9月期の連続テレビドラマ、夏ドラマのAVOD再生が絶好調だ。民放テレビ局の見逃し無料配信動画サービス「TVer」とフジテレビの公式動画配信サービス「FOD(フジテレビオンデマンド)」の合計値だが、1億再生突破は民放史上初めての快挙だ。実は同局は、このAVODによるネット広告収入が東京キー局のなかで一番伸びている。まだ各局が当初想定したほどの額には達していないものの、今後PUT(総個人視聴率)が下がりテレビ広告費が減少の一途となるなか、ネット広告費は経営の確かな支えとなっていくはずだ。ビジネスとして見た場合のテレビドラマの変化について、次世代メディア研究所代表の鈴木祐司氏に解説してもらう。
TVerが4.8億回突破
7月はTVer全体の再生回数も過去最高記録を更新した。月間ユニークブラウザ数(MUB)は4000万で、動画再生数も4.8億回超となった(図1)。要因はいくつかある。パリ2024夏季オリンピックが競技開始から閉会(7月24日~8月12日)までで約1億1100万回再生され、7月度の総数を大きく底上げした。複数の大型番組が放送されたのも大きい。日本テレビ『THE MUSIC DAY 2024』、TBS『音楽の日2024』、そしてフジテレビ『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』の見逃し再生回数が多くなった。
そのなかでフジのドラマも気をはいた。月9ドラマ『海のはじまり』(主役・目黒蓮)が2873万再生を突破し、7月期の民放全ドラマでトップとなった。他に『新宿野戦病院』(小池栄子、仲野大賀)、『ギークス~警察署の変人たち~』(松岡茉優)、『ビリオン×スクール』(山田涼介)も好調で、同局制作のドラマ4本で5621万再生に及んだ。各局の夏ドラマの総再生数は発表されていないが、おそらくフジが他局の1.5倍以上に達しているはずだ。