研究主任の一人であるシャム・スンダル(Shyam Sundar)氏はこの結果を受けて「多くのユーザーが見出しや宣伝文句だけに基づいてニュース記事を表面的に読んでいるという理論を裏付けている」と指摘。
その上で「彼らは時に誤った情報を共有している可能性があることに気づかない」と続けます。
実際にユーザーがシェアした政治ニュースの内容をチームが精査したところ、2969件のニュース記事が虚偽の情報を掲載していました。
つまり、ユーザーたちは知らず知らずのうちに、虚偽のニュースを共有することでSNS上に広めている可能性があるのです。
では、そもそもなぜ人々は中身を見ることなく記事をシェアするのでしょうか?
その理由はごくシンプルで、SNS上に新規の情報が溢れかえり過ぎているため、ユーザーたちは一つ一つの内容を読んで精査する余裕がないからです。
「このようなこと(リンクをクリックせずに共有すること)が起こるのは、人々が情報に打ちのめされ、立ち止まって考えられなくなっているからでしょう」とスンダル氏は話します。
今回の調査はFacebookと政治ニュースに焦点を当てたものですが、Xを含む他のSNSプラットフォームや政治以外の分野でも同様のことが起こっている可能性がある、と研究者らは考えています。
この結果についてチームは、虚偽の情報が拡散する恐れがある上で非常に懸念すべき問題であると述べています。
特に国の運営に関わる選挙中のニュースや新型コロナを代表とするパンデミック、地震や台風などの災害時における避難時などに、虚偽の情報が拡散されることは生活や命に関わる危険性があります。
私たちSNSユーザーはさまざまな分野のニュースを毎日浴びるように見ていますが、自分がシェアしようと思うニュースは一度リンクを開いて、中身を確認してから共有するように心がけるべきでしょう。