連星系活用の利点と技術的詳細

 これまでの研究では、単独の「超高速度星」に注目が集まっていたが、ビダル氏は新たな視点を提示した。実際の宇宙では、ほとんどの恒星が連星系に属している事実に着目し、これらの系の方が単独星よりも多くの利点を持つと主張する。

 特に、中性子星と低質量星からなる連星系をモデルケースとして、その操縦性と推進力の可能性を詳細に分析した。この組み合わせでは、強力な重力場を持つ中性子星近傍に機械を設置することで、効率的なエネルギー源として活用できる。さらに、軌道上の特定のポイントでのみ機械を作動させることで、システム全体の移動方向を制御できる可能性がある。

 運用方法としては、恒星表面の不均一な加熱や非対称な磁場によって物質放出を制御し、反作用で系全体を望む方向に移動させる。機械の作動時間を微調整することで、軌道面に沿った任意の方向への移動が可能となり、さらには機械の向きを変えることで、軌道面外への移動も実現できるという。