例えば原子は原子核に含まれる陽子と中性子の数で重さが決まります。この陽子と中性子は「クォーク」と呼ばれる素粒子の集まりです。
そのためクォーク1つ1つには当然質量があります。
しかし、ここで問題となったのが同じ素粒子でも、質量がゼロというとんでもない存在がこの世界に存在することです。
それが光子です。光子は質量を持ちません。
さきほど、質量は物質の量だという話をしましたが、では光子はこの世界に物質として存在しないのでしょうか?
当然そんなことはありません。
光子はたしかに物質としての存在を持っていて、粒子として観測すれば1つ2つと数えることができ、この世界でさまざまな仕事をすることができます。
では、なぜ光子は質量を持たないのでしょうか?
この問題に答えるためには「物質がこの世界に存在すれば、そこには自然と質量が生じる」という考え方を捨て去らなければなりません。
質量には明らかになんらかの原因があり、その結果として生じていると考えられるのです。
量子論は当然、それが何らかの素粒子との相互作用によって生じると予測します。
そして発見されたその「何らかの素粒子」が、ヒッグス粒子なのです。
つまり質量とはヒッグス粒子との相互作用で生じていたのです。
しかしそれは一体何を意味するのでしょうか? 一体この世で質量が生じるメカニズムとはどういうものなのでしょうか?
ヒッグス粒子ってなんなの?
ヒッグス粒子は、質量をこの世界に生み出している素粒子です。
ヒッグス粒子は通常見ることもできないかすかな存在ですが、宇宙を海のように満たしています。
そして、空間を満たすヒッグス粒子は、他の物質にまとわりつくような性質があり、これによって物体に質量が生じているというのです。
そのため多くの解説では、この粒子は物質を空間にくっつける「糊のような粒子」だと説明されています。