EWCPはエチオピアオオカミの保護を適切に進めるために、本種がどのような行動を取り、何を食べているのかを研究しています。
今回の調査もその一環であり、オックスフォード大学の野生生物保護調査ユニット(WildCRU)と共同で行われました。
そして研究チームが2023年5月下旬から6月上旬にわたりフィールドワークを行う中で、奇妙な光景を目にします。
なんと肉食動物であるはずのオオカミが現地に自生する花の蜜をおいしそうに舐めていたのです。
しかも1度や2度ではなく、何日も連続して花蜜を訪れており、1つの花蜜を舐め終わるとまた別の花へと移動していました。
エチオピアオオカミは普段ネズミやウサギを主食としており、時々、鳥類やその卵を食べることがわかっています。
しかし植物である花蜜を食べることは知られていませんでした。
一体何の花の蜜を食べていたのでしょうか?
オオカミが「受粉の媒介」をしている初の証拠かも
オオカミが食べていたのは、現地に自生する「エチオピアン・レッドホットポーカー(学名:Kniphofia foliosa)」と呼ばれるシャグマユリ属の花蜜です。
この花は毎年6〜11月に開花期を迎え、地上からまっすぐ伸びた茎の先端に小さな筒状の花を穂状にたくさん咲かします。
開花期にはそれぞれの花から大量の蜜を分泌し、昆虫や小鳥を引き寄せることが知られていました。
研究主任の一人であるクラウディオ・シレロ(Claudio Sillero)氏もこの花の存在については以前から認知しています。
「私が最初にエチオピアン・レッドホットポーカーの密に気づいたのは、現地のベール山脈で羊飼いの子供たちが花を舐めているのを見たときでした。