オオカミはご存知のように肉食の捕食者であり、通常はネズミやシカなどの野生動物を狩って食べています。
しかし最近、英オックスフォード大学(University of Oxford)の調査で、昆虫のように花蜜を吸う「甘党オオカミ」が発見されました。
このオオカミは東アフリカのエチオピア高地に生息する種で、大型の肉食動物による花蜜摂食の記録は初めてと見られます。
また鼻先や口周りに大量の花粉をつけて花から花へと移動していたことから、受粉の媒介者としても機能している可能性があるようです。
研究の詳細は2024年11月19日付で科学雑誌『Ecology』に掲載されています。
目次
- 花蜜を食べるオオカミを発見!
- オオカミが「受粉の媒介」をしている初の証拠かも
花蜜を食べるオオカミを発見!
今回、花蜜を吸うことが確認されたのは「エチオピアオオカミ(学名:Canis simensis)」という種です。
エチオピアオオカミはその名の通り、”アフリカの角”に位置するエチオピアに分布し、その中でも特に標高3000〜4400メートルの高地に広がる草原に生息しています。
淡い褐色の毛並みで全長は大人で1メートル前後、その見た目の近似性から元々はジャッカルに近いと考えられていました。
今でも和名を「アビシニアジャッカル」と呼んだりしています。
しかし近年のDNA研究で、本種はジャッカルよりもオオカミに近いことが確認されました。
その一方で、エチオピアオオカミはアフリカ内でも最も絶滅の危機に瀕している動物の一つであり、すでに6つの飛び地に限定された99の群れの中で500頭以下しか生存していないと推定されています。
そこで本種の絶滅を食い止めるべく、「エチオピアオオカミ保護プログラム(EWCP)」という団体が1995年に設立されました。