毎日のように、一般庶民が望まない、政府によるバラマキ行為や、増税・社会保証料引き上げのニュースが喧伝される中、それでも、庶民は生活のために、歯を食いしばって頑張っている。

コロナ発生から、間もなく5年が経過するが、あの時、湯水のように使えた財政の味は忘れられず、今年も、事業規模39兆円の補正予算が組まれた。

財務省HPより

しかし、日本が将来貧しくなるのは確実なので、庶民が働く目的は、イソップ物語のアリさんのように、冬に備えて貯金を貯めることしか無く、政府がどれだけばらまいても、成長率は日に日に下がり、IMFは今年の日本の成長率見通しを0.3%まで引き下げ、いよいよ0.8%程度の潜在成長率を下回り、デフレへの逆戻りが心配される状況に片足を突っ込んだ。

幸福実現党やイーロン・マスクやアルゼンチンのミレー大統領が言うように、政府がお金を使えば使うほど、国力は下がり、成長がおぼつかなくなり、通貨は下落し、国は貧しくなる。

しかし、もう、庶民に夢を見せられなくなり、大衆迎合しか出来なくなった日本の政治家に、今さら、構造改革を求めることは不可能なので、財務省はインフレタックスで国の財政を立て直す最後の手段に打って出ている。

これは、イギリスが第二次世界大戦後に採用した、金融抑圧という財政健全化手法であり、政府の債務残高を名目ベースでは微増に抑えつつ、期待インフレ率を高く保ちながら、金利を抑圧することにより、インフレで名目政府債務のGDPに対する割合を、時間をかけて、縮小させていく手法で、イギリスの名目債務は名目GDPの2.6倍から、0.8倍迄、劇的に下げることに成功している。

この政策を成し遂げるには、長い時間がかかり、イギリスの場合も10年程度は金利を低く抑えつつも、インフレが発散しないように非常にきめ細やかなハンドルさばきが必要になる。

ただし、その後のイギリスは、インフレと金融抑圧のみで、政府債務の削減に成功してしまったことにより、やるべき構造改革が疎かになり、60年代以降のイギリス病につながってしまい、構造改革による改革に比べれば、どこまで行っても、次善の策であることは覚えておかなければならない。