逮捕状の正式発行後の11月22日の記者会見で、林正官房長官は、「パレスチナ情勢にいかなる影響を与えるかの観点も含め、捜査の進展を重大な関心を持って引き続き注視する」と述べるにとどめた。

これが対ロシアの話題であったら、「国際社会の法の支配を守る」といったテーマに引き寄せた発言を行っただろう。ガザ危機であれば、関心対象はせいぜい「パレスチナ情勢にいかなる影響を与えるか注視」にとどまっている。

残念ではあるが、これまでもずっとこのような態度なので、驚きはない。少なくとも日本がICCの活動の阻害要因にならないことを祈るのみである。

「国際社会の法の支配」を推進すると述べる日本の立場は、単なる二枚舌で、信じるに値しない浅はかなアメリカ追随の文言でしかない、という印象を世界に流布するかどうか。その瀬戸際にはなってきている。

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