献本いただいたのに御礼が遅れて申し訳ありません。今年4月刊の舟津昌平『Z世代化する社会 お客様になっていく若者たち』が、拙論に言及して下さっています。温かいお手紙も添えてご恵投くださり、ありがとうございました。

著者の舟津さんとは面識がないのですが、京都大学で組織やマネジメントの研究をされた後、現在は東京大学大学院経済学研究科講師とのこと。ジャンルや専門が違う方にも、自分のメッセージが伝わるのは本当に嬉しいです。

具体的な言及箇所を引くと、こんな感じです。

上司の表情で不安になり心を病む人のために、ストレスの根源である上司の表情を監視し、管理する。そういうビジネスを立ち上げたベンチャー企業の社長のインタビュー記事だった。

ちょっと眩暈がする。上司に起因した職場トラブルがあることはたしかだ。でも、上司が諸悪の根源であるわけもない。まるでインフルエンサー(アンチ)がアンチ(インフルエンサー)には何をしてもいいと思っているような攻撃性。上司が凶悪犯罪者であるかのような扱いではなかろうか。上司の表情まで管理する社会がマトモなのか。

歴史学者・與那覇潤は、こうした様相を「社会のデオドラント化」と表現する。巧い表現だ。クサいから除菌する。汚物は消毒だ! 滅菌せよ! というわけだ。

でも、現実的に菌が消えることなどない。得られるのは刹那的な「消えた感」だけだ。

『Z世代化する社会』282頁 強調箇所は、原文と異なります