ある企業のケースです。新任リーダーのAさんには、2人の部下がいました。 Aさんは、部下に意見を聞いてくるのですが、 自分の決断に自信が持てずにいました。そのうちに、2人の部下のモチベーションは、低下してしまいました。
山田さんは次のように解説します。
「リーダーのこうした気持ちの背景には、 『こうやって決めてしまって、いいのだろうか』 という不安や『部下に指示したことで、嫌われたくない』という気持ちがあるのはわかりますが、 これがリーダーとしての役割なのです。 部下との摩擦を怖がって逃げてばかりいると、 自分で考えて決断することができなくなります」(山田さん)
「もし、自分が間違った判断や失敗したとしても、『やり直せばいいや』くらいの気持ちの切り替えが必要です。 周りの環境に振り回されるのではなく、目的地を明確にして臨機応変に振舞いましょう。また、部下を持った途端に態度が豹変するリーダーがいます。リーダーとしての役割が変わっただけで、立場が偉くなったわけではありません」(同)
リーダーになった途端に「私は偉いんだ」と勘違いする人がいます。役職や肩書はあくまも職責にすぎませんから、より丁寧なコミュニケーションが求められるのです。
リーダーには何が必要リーダーには「覚悟」が必要です。リーダーという立場はメンバーが身近であるがゆえ、メンバーの延長線上にあると思いがちですがそれは間違いです。実際に現場で動いている集団をまとめるのがリーダーの役目です。そのリーダーが、メンバーの延長という意識で務まらないことは明白です。
戦場を例にとりましょう。リーダーの指示一つでチーム全員の生死が決まります。メンバーの状況を見ずに、上からの指示をそのまま流してしまえば、情報の徹底もできなければメンバーの士気も下げてしまいます。逆にメンバーの顔色ばかりうかがっていても任務の遂行はできません。
また、リーダーは仲良しこよしではいけません。中間管理職なら、メンバーと上司の板挟みになるような場面も多いでしょう。それでもリーダーとして即座に判断し、決断をしなければなりません。いままでは、上司や会社の方針に文句を言っていた場面もあったかもしれません。しかし、リーダーであるあなたは、それは許されなくなります。
誰にも新任管理職の経験はあるものです。取り組み方や意識の持ち方が、その後のキャリアを形成すると山田さんは言います。悩んでいるといつの間にかキャリアが過ぎ去ってしまいます。この機会に、真のリーダー像を心に刻まなくてはいけません。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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