新しいテクノロジーに触れるインセンティブ

最後に仕事をすると先端テクノロジーに触れる動機を作れるというメリットがある。新しいテクノロジーに触れ、知的好奇心を満たしたり仕事の効率アップができるなら、広義の幸福につながると考え、取り上げたい。

代わり映えしない日常生活を送っているだけでは、新しいITデバイスやテクノロジーに触れようという動機を作ることは難しい。年配者と話をすると頻繁に出てくる言葉が「(昔のものを)まだ使える」である。だが、これは脳の老化現象を端的に示すキーワードだと個人的に考える。確かに世の中には物持ちのいい人がいる。大事に使えば同じものを10年、20年も使うという人はいる。洋服もそうだ。中高年の歳になって、学生時代のジャージを家着として使っている人もいたりするし、「今どき動くの?」と思えるような古いPCやスマホを使っている人もいる。

だが、テクノロジーの分野でいえば「まだ使える」は禁句にした方が良い。なぜなら数年経過すると浦島太郎状態になるほど、特にITは変化が早いためだ。ChatGPTが広く知られるようになってからまだ1年ほどしか経っていない。だが、この1年で世界は大きく変化した。

雑誌やテレビなど旧マスメディアでも広く取り扱うようになって認知度は高まっているにも関わらず、実際に毎日使っている人はまだまだ圧倒的に少数派である。それは「まだ今のままでも十分使えるから。困ってないから」とレガシーテクノロジーにしがみついている、言い方を変えれば変化を拒みコンフォートゾーンから抜け出していない。

厳しい言い方をすると、それでも務まってしまう付加価値に自己満足していると言えないだろうか? 今や、AIを使わなければできない仕事もある。いや、そのように自分で意識的に取り扱うべきだとすら思う。

話を戻すが、仕事をする上では付加価値を常に意識する必要がある、これを高める要素はドンドン積極的に取り入れるべきだ。先端のテクノロジーに触れることは、少なくともホワイトカラー職については確実にその一助になる。だから新しい技術はまっさきに取り入れる習慣を持った方がいい。日常生活や趣味を楽しむなら、効率化はあまり意識しないだろう。だからこそ、仕事を通じて先端の技術に触れる習慣、環境を持っておくべきなのだ。

よく定年退職後にも働く人を見て「お金がないとああやって老後も働かないといけないのだ」と揶揄する人がいるが、実際は社会とのつながりや脳の老化を恐れて自主的に働いているというケースの方が多いと思っている。人間は老化すると脳の廃用性が加速するので、頭を使う習慣がなければ一気に老化する。毎日漫然とテレビの番人になってしまうのは最も恐ろしい生活習慣だ。仕事は幸福にもなる上、実は脳にとって最強のアンチエイジングにもなるのだ。

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