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前回『この国に未来なんてあるわけないじゃん』をアップした後、まったく同じテーマで話をする機会があった。相手はまさに氷河期世代の女性である。曰く、「日本は本当にひどい国になった」。

あれま。そうかな? 本当に?

と筆者は当然に問い返す。例えばアメリカの現状とかは理解しているだろうか?

全米で万引きが深刻化、堂々とした組織的な犯罪に

いわゆる左派勢力が弱者救済を極論的に推し進め、弱者は虐げられた層なので10万円以下の万引きは罪に問わないとした結果、警察も警備員も店員も万引きを抑止できなくなった。店頭から堂々とカートに商品を入れて持ち去るのをただ黙って見ているしかない。

サンフランシスコでは、クルマを駐車する際も、窓を閉めているとガラスを割って内部を物色する輩がいるので、窓は開けっぱなしで、中を荒らされないように、見えやすいシートの上に、小銭を置いておくという話も聞く。ほぼ『北斗の拳』の暴徒が支配する世界である。

当然店は営業できなくなり、どんどん閉店に追い込まれ、ゴーストタウン化が進む。すでに生活物資の購入が難しくなり、インフラが破綻し始めている。アメリカで暮らしている日本人が、もうこの国で生活するのは無理だとして日本へ帰国するケースも増えているという。これは政治の失敗であり、こういうのが本当にひどい国だと思う。そう彼女に伝えた。

いやいや、「まだ下があるから幸せだ」みたいな話は違うのではないかと彼女は言う。

それは筆者の意図と違う、「ひどい国」の定義の話をしているのであって、もっと下があるということではないよ。それとね。それこそGDP第1位のアメリカなんだよ。それがこうなっている。別に第三世界の最貧国みたいなところを引き合いに出しているわけではない。

そして資本主義国が腐敗して没落しているということでもない。いかにもそういうことを言いそうなGDP第2位の中国自身も、経済運営の大失敗で、すでに公務員ですら半年給与が未払いになっている。

中国の地方公務員「半年給料ない」 不動産不況で財政悪化