市場調査の極意とは

彼らは、ガムの形状にこだわった。そして完成したのが「クロレッツ」だった。ロッテの板ガムは7枚入りだったが、クロレッツは粒状で14粒はいっていた。さらに、ボトル状100粒入りのものがドライバーを中心に売れた。まさにマーケティングの勝利だった。

筆者はマーケティングのなかでもフィールドサーベイを得意としていた。たとえば、ガム市場を調べる場合、ロッテに取材をかけても得策ではないし情報精度も期待できない。そのような場合は、ロッテに商品を納入している菓子問屋に取材をかけるのである。

「こちらも情報を提供します」という主旨のアポであれば嫌がられはしない。しかし、情報を加工して伝えられるリスクもある。そのようなリスクを想定して、最低3社くらいにアプローチをするのである。

それでもしっくりこなければ、商社にアプローチをする。詳細な数字は教えてはくれないが、

「先月は10コンテナはいってきたね、その前は8コンテナ、最近増えているよ」 「タイからの輸入品が増えているね。現地生産しているのかなー」

みたいな話が聴ければ予想を立てられる。

「輸送コストを考えれば国内生産のほうが効率的だ。なぜやらないのか?」 「国内で製造しないということは、きっとラインがあわないんだな」

とイメージを膨らませることができる。

30代の頃、このような情報をレポートにして売っていたことがある。1社30万円としても10社に売れれば300万円だ。レポートは、食品会社ではなく、商社、ドラッグストア、百貨店、車部品メーカーなど異業種に人気があった。

おそらく、担当者はつねに新規事業に追われてたのだろう。いまでも、本気を出せば市場調査は誰にも負けない自信はある(絶対にやらないがww苦笑)。

さて、本書は実践的なヒントを導き出したい人にとって役立つことだろう。情報を活かすも殺すもあなた次第ではあるが。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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